マイクロニードルパッチ(MNP)型麻疹風疹(MR)混合ワクチンに関する報告(Lancet
. 2024 May 11;403(10439):1879-1892.)です。
ガンビアの1施設で、18〜40歳の成人45人と、生後15〜18カ月の幼児と生後9〜10カ月の乳児120人ずつを対象に、MRV-MNPの安全性と有効性、忍容性が検討されました。これらの3つのコホートは、MRV-MNPとプラセボの皮下注射を受ける群(MRV-MNP群)とプラセボのMNPとMRVの皮下注射(MRV皮下注群)を受ける群に、2対1(成人コホート)、または1対1(幼児・乳児コホート)の割合でランダムに割り付けられました。
その結果、ワクチン接種から14日後の時点で、MRV-MNP群に安全性の懸念は認められず、忍容性が高いことが示されました。MRV-MNPを受けた幼児の77%と乳児の65%に接種部位の硬化が認められたが、いずれも軽症で治療の必要はありませんでした。
乳児コホートのうち、ベースライン時には抗体を保有していなかったが接種後42日時点で麻疹ウイルスと風疹ウイルスに対する抗体の出現(セロコンバージョン)が確認された対象者の割合は、MRV-MNP群でそれぞれ93%(52/56人)と100%(58/58人)、MRV皮下注群では90%(52/58人)と100%(59/59人)でした。接種後180日時点でも、MRV-MNP群では91%(52/57人)と100%(57/57人)の対象者で麻疹ウイルスと風疹ウイルスに対するセロコンバージョンを維持していました。
また、幼児コホートで、ベースライン時には抗体を保有していませんでしたが、接種後42日時点で麻疹ウイルスと風疹ウイルスに対するセロコンバージョンが確認された割合は、MRV-MNP群で100%(5/5人)、MRV皮下注群で80%(4/5人)でした。風疹ウイルスに対しては、研究開始時から全ての対象児が抗体を保有していました。
以上から、腕に貼る麻疹・風疹ワクチンは乳幼児に安全かつ有効であると考えられます。
予防接種のワクチン注射を嫌がる子どもに、痛みのないパッチを腕に貼るという新たなワクチンの接種方法を選択できる日もそう遠くないのかもしれませんw (小児科 土谷)