小児というか、若年成人のlong COVIDに関する話題です。
ちなみに、倫理的に物議を醸した「ヒトチャレンジ試験(感染実験)」を行った報告(Changes in memory and cognition during the SARS-CoV-2 human challenge study. eClinicalMedicine, 76, 102842, 2024)からです。
34人の健康な若年成人ボランティア(ワクチン接種なし)をSARS-CoV-2ウイルスに感染させ、その後1年間にわたって、記憶や認知機能の変化を詳細に追跡調査を行いました。
総合認知スコア(bcGCCS)の結果、感染者群(緑色の線)は、灰色の線の非感染者群と比較して認知機能が著しく低下していることが分かりました(全時点の平均差 = −0.8631,p = 0.009)(非感染者群はタスクを繰り返すことで学習効果があるためスコアがベースラインより上昇するが、感染者群ではそれが認めず、むしろベースラインからの低下が持続している)。そして、感染による認知機能低下は少なくとも1年間は持続していました。

重要なポイントとして、感染者の多くが認知機能の低下を自覚していないにもかかわらず、客観的な認知テストでは明らかな差が観察された点です。
パンデミック当初と異なり、現在のCOVID-19の問題は認知機能の低下で、認知機能障害は高齢者だけでなく、小児や若者にも生じています。
色々と問題の多いSARS-Cov-2ウイルスによる感染の「波」は今後も繰り返すことが予想されます。
年齢を問わず、感染状況にあった感染予防策を行いましょう。
それにしても、このご時世で「ヒトチャレンジ試験(感染実験)」よく行ったものだと感心。。 (小児科 土谷)


