世間では子どもは新型コロナウイルスに罹患しても大丈夫といわれていると思いますが、本当にそうなのか?検証は必要ですw 一括りに「子ども」と言っても年齢層に幅がありますので。

少し昔のデータになりますが、アメリカCDCが出しているMorbidity and Mortality Weekly Reportのデータをもとに考えてみましょう(2022年10月から2024年5月のオミクロン株流行時に集められたデータです)。

Maternal Respiratory Syncytial Virus Vaccination and Receipt of Respiratory Syncytial Virus Antibody (Nirsevimab) by Infants Aged 8 Months — United States, April 2024 | MMWR (cdc.gov)

 

上記の観察期間で人口10万人当たりの新型コロナ入院者数(=入院頻度)を年代別に見ると、1才未満の子どもたちの入院頻度が高く、生後6ヶ月未満の子どもたちの頻度が他の年齢層と比べて圧倒的に高いことがわかります。

ちなみに10万人当たり約20人という頻度は、65才以上の年齢層の頻度とほぼ同じです。そう考えると、生後6ヶ月未満の子どもたちの入院頻度が如何に高いかが分かると思います。


そして、入院した子どもたち1,470名では、①約5人に1人がICUに入室、②約20人に1人が人工呼吸器を使用、③9人が死亡しており、重症化率が高いことがわかっています。ちなみに、生後6ヶ月未満での入院者では76%が基礎疾患なしで、一見正常な子どもたちで高い重症化率が見られている点は驚愕すべきことです。


以上から、「子どもだから新型コロナにかかっても大丈夫」と一般化することは出来ないことが分かります。生後6ヶ月未満の子どもたちはワクチン接種の対象外なので、これを防ぐためにはお母さん(=妊婦)のワクチン接種を積極的に勧めなければなりません。

 

多少、人種により重症化率に差はあるかも知れませんが、COVID-19を甘く見ず「赤ちゃんを守るために出来ること」を実践して行きましょう。 (小児科 土谷)

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