COVID-19パンデミック中は、外出自粛、飲食店の時短営業などがあったことは記憶にも新しいと思います。2023年5月にWHOが緊急事態の終息を宣言し、国内でも感染症法上の位置付けが5類となり、社会生活はほぼパンデミック前の状態に戻りました。

 

さて、COVID-19パンデミック前後で、人々の飲酒行動はどう変化したのでしょうか?

お酒好きが多いことで知られる高知県からの研究( Environmental health and preventive medicine. 2024;29;53. pii: 53.)を紹介したいと思います。

Emergency transportation for acute alcohol intoxication four years after the coronavirus disease 2019 pandemic: a retrospective observational study

 

高知県救急医療・広域災害情報システム「こうち医療ネット」のデータを用いて行われた研究です。2019~2023年の救急搬送のデータから、解析に必要な情報がないもの、および急性アルコール中毒の記録が存在しない9歳以下と80歳以上を除外した10万7,013人を解析対象としました。このうち1,481人(1.4%)が、急性アルコール中毒による救急搬送でした。

 

救急搬送者数に占める急性アルコール中毒による搬送者の割合を経時的に見ると、パンデミック前の2019年は1.8%、パンデミック初期に当たる2020年は1.3%であり、その後、2021年と2022年は1.2%で、2023年は1.3%と推移していました。

パンデミック前の2019年を基準として、年齢、性別、救急要請場所、消防管轄区域(高知市か高知市以外)、および重症度を調整し、救急搬送のオッズ比(OR)を算出すると、以下のように2020年以降はすべて有意に低値であり、2023年にわずかに上昇する傾向が認められたのみでした。2020年はOR0.79(95%信頼区間0.68~0.93)、2021年はOR0.74(同0.63~0.87)、2022年はOR0.72(0.61~0.84)、2023年はOR0.77(0.66~0.90)。

 

以上から、COVID-19パンデミック後、人々の生活がある程度元に戻ったにもかかわらず、高知県での急性アルコール中毒による救急搬送は、(若干増加しているとはいえ)いまだパンデミック以前のレベルに至っていないことが分かりました(パンデミックを経て飲酒行動が変化したこと)。

 

何となく、以前よりも居酒屋の賑わいが減ったように感じていましたが、データとして示されると改めて実感してしまいます。COVID-19パンデミックは色々な方面で大きな影響を与えましたねw (小児科 土谷)