ネグレクトは身体的虐待や性的虐待、感情的虐待と同様に子どもの社会的発達にダメージを与える模様です(Child abuse & neglect. 2024 Dec;158;107125.)。
米連邦政府の長期研究(National Longitudinal Study of Adolescent to Adult Health;Add Health)調査参加者9,154人のデータを分析し、マルトリートメント(ネグレクトや虐待などの不適切な養育)が参加者の社会性や仲間からの人気度、社会と強固なつながりを築く能力に及ぼす影響について調べました。参加者は、7~12年生時(1994〜1995年)に初回の調査を受け、その後、第3次調査(2001〜2002年)および第4次調査(2008〜2009年)も受けました。
その結果、参加者の40.86%が12歳あるいは6年生(12歳)になるまでに、身体的虐待や性的虐待など何らかのマルトリートメントを受けた経験があると報告していました。そのうちの10.29%は、養育者が住居、食事、衣服、教育、医療へのアクセスや精神的サポートを与えないことで子どもを危険な状態に置くことを意味する身体的ネグレクトでした。参加者には、在学時に実施した調査で、参加者に最も親しい男女の友人を5人まで挙げるよう求めました。社会性は当時の友人の数に基づき測定しました。一方、人気度は、その参加者の名前を友人の1人として挙げた仲間の数に基づき測定しました。社会的つながりの強さは友人グループのネットワークに基づき測定しました。
子どもが友人として挙げた仲間の数は平均で4.49人で、1人につき平均4.54人がその子どもを友人として挙げていました。しかし、虐待やネグレクトを経験した子どもは、友人として挙げる仲間の数や、その子どもを友人として挙げる仲間の数が統計学的に有意に少ないことが示されました。
また、種類にかかわらず、マルトリートメントは子どもの社会性の発達に有害な影響を与えることも示されました(例;性的虐待の経験は子どもを仲間から孤立させやすくする)。そして、感情的虐待や身体的虐待の経験は、子どもの人気度を低下させたり、社会的なつながりを弱めたりする可能性のあることが明らかになりました。ただし、これら3つの要素の全てに支障をもたらすのは身体的ネグレクトのみでした。
以上から、基本的な欲求が満たされない子どもは、社会的発達(友人関係や恋愛関係を築く能力)が生涯にわたって損なわれる可能性があるみたいです。
職業柄ネグレクトや虐待が疑われるお子さんに遭遇することはゼロではないため、これらを念頭に置いて、子どもたちをサポートする体制を整えなければなりませんね。 (小児科 土谷)

