米国では2024~25年のインフルエンザシーズン、インフルエンザ関連急性壊死性脳症(IA-ANE)の小児患者数が増加したみたいです(JAMA. 2025 Jul 30; pii: e2511534.)。

Influenza-Associated Acute Necrotizing Encephalopathy in US Children | Critical Care Medicine | JAMA | JAMA Network

 

IA-ANEと診断された米国の小児における臨床症状、介入およびアウトカムを明らかにするため、ANEと診断された小児を対象に多施設共同集積研究で長期追跡調査を行いました。

 

学会、公衆衛生機関、国内76の大学医療センターの小児専門医から、2023年10月1日~2025年5月30日に症例提供が行われました。

対象基準は放射線学的な急性視床障害および臨床検査によりインフルエンザ感染が確認された21歳以下の急性脳症患者とし、主要アウトカムは、主な症状、ワクチン接種歴、検査値および遺伝学的所見、介入、臨床アウトカム(修正Rankinスケールスコア[0:症状なし、1~2:軽度障害、3~5:中等度~重度障害、6:死亡]など)、入院期間、機能的アウトカムでした。

 

提供された58例のうち、23病院からの41例(女児23例、年齢中央値5歳[四分位範囲[IQR]:2~8])が対象基準を満たしていました。31例(76%)は重大な病歴を有しておらず、5例(12%)は複雑な疾患を有していました。

主な臨床症状は、発熱38例(93%)、脳症41例(100%)、けいれん発作28例(68%)で、39例(95%)がインフルエンザA(A/H1pdm/2009:14例、A/H3N2:7例、サブタイプ不明:18例)、2例がインフルエンザBに感染していました。

検査所見で異常値が認められたのは、肝酵素の上昇(78%)、血小板減少症(63%)、脳脊髄液タンパク質の上昇(63%)などでした。

遺伝子検査を受けた32例(78%)のうち、15例(47%)にANEリスクに関連する可能性がある遺伝的リスクアレルがあり、11例(34%)はRANBP2変異を有していました。

ワクチン接種歴が入手できた38例のうち、年齢に応じた季節性インフルエンザワクチンの接種を受けていたのは6例(16%)のみでした。

 

大多数の患者は複数の免疫調節療法を受けており、メチルプレドニゾロン(95%)、免疫グロブリン静注(66%)、トシリズマブ(51%)、血漿交換(32%)、anakinra(5%)、髄腔内メチルプレドニゾロン(5%)などでした。

ICU在室期間中央値は11日(IQR:4~19)、入院期間中央値は22日(7~36)。11例(27%)が症状発症から中央値3日(2~4)で死亡し、主な死因は脳ヘルニア(91%)でした。90日間の追跡調査を受けた生存児27例のうち、17例(63%)が中等度以上の障害(修正Rankinスケールスコア3以上)を有していました。

 

米国では2024~25年のインフルエンザシーズン、インフルエンザ関連急性壊死性脳症(IA-ANE)の小児患者数が増加したと報告されています。

インフルエンザ関連急性壊死性脳症に至ると死亡率・合併症率・後遺症率も高いことから、インフルエンザシーズンは感染予防を心掛けて欲しいものです。 (小児科 土谷)