小児に対するインフルエンザワクチンの効果について検証した論文(JAMA network open. 2024 Dec 02;7(12);e2452512. pii: e2452512.)です。

Estimated Vaccine Effectiveness for Pediatric Patients With Severe Influenza, 2015-2020 – PMC

 

本研究は検査陰性デザイン(test-negative design)の症例対照研究で、2015年11月6日~2020年4月8日に、New Vaccine Surveillance Networkに参加している米国8州の医療機関8施設のデータを使用し、急性呼吸器疾患(ARI)で入院や救急外来受診した生後6ヵ月~17歳を対象に実施されました。

対象者は、インフルエンザ検査陽性群とインフルエンザ検査陰性の対照群に分類されました。また、ワクチン接種歴に基づいて分類され、ARIの重症度を基準に登録されました。重症度は救急外来受診、非重篤な入院、重篤な入院(ICU入院や死亡を含む)の3段階としました。多変量ロジスティック回帰モデルを用いてワクチン接種オッズを比較してワクチン効果を推定し、ワクチン接種の有無による重症化リスクの低減効果を評価しました。

 

その結果、ARIで治療を受けた小児1万5,728例(男児:55.4%、6ヵ月~8歳:1万3,450例[85.5%]、9~17歳:2,278例[14.5%])のうち、2,710例(17.2%)がインフルエンザ検査陽性(症例群)、1万3,018例(82.8%)がインフルエンザ検査陰性(対照群)でした。

インフルエンザ陽性群のうち、1,676例(61.8%)が救急外来を受診し、896例(33.1%)が非重篤な入院、138例(5.1%)が重篤な入院でした。
全体の約半数(7,779例[49.5%])がワクチン接種を受けており、症例群の接種率は32.6%、対照群の接種率は53.0%でした。


推定ワクチン効果として、インフルエンザワクチンを少なくとも1回接種すると、インフルエンザ関連の救急外来受診または入院リスクが、接種しなかった場合と比較して推定55.7%(95%信頼区間[CI]:51.6~59.6)低下したことが分かりました。
推定ワクチン効果は、年少児(6ヵ月~8歳:58.1%[95%CI:53.7~62.1])のほうが、年長児(9~17歳:42.6%[95%CI:29.2~53.5])よりも高く、重症度別のワクチン効果は、救急外来受診では52.8%(95%CI:46.6~58.3)、非重篤な入院では52.3%(95%CI:44.8~58.8)、重篤な入院では50.4%(95%CI:29.7~65.3)で、いずれの重症度でも同様でした。

 

以上から、インフルエンザワクチンを少なくとも1回接種すると、インフルエンザに関連する小児救急外来受診または入院が50%強減少することが分かりました。

 

インフルエンザ関連の重篤な症状を予防するために、毎年のワクチン接種は重要です。

インフルエンザに罹患して大変な思いをしないために、毎年きちんと予防接種を受けましょう。 (小児科 土谷)