院長先生のブログ
健康増進に1日1万歩、必要なのか?
健康のためには「1日1万歩」歩くと良いとよく言われていますが、健康増進と歩数に関する話題( Nature medicine. 2022 Nov;28(11);2301-2308. doi: 10.1038/s41591-022-02012-w.)です。
米国All of Us Research Program(AoURP)のデータが解析に用いられました。AoURPには、ウェアラブルデバイスにより把握した身体活動量や、受療行動・検査の結果、遺伝子情報など、個人の健康に関する詳細なデータが記録されており、その中から、活動量計の記録のある6,042人〔年齢中央値56.7歳(四分位範囲41.5~67.6)、女性73%、BMI中央値28.1〕を抽出して解析しました。観察期間中央値4.0年(同2.2~5.6)での平均歩数は1日7,731.3歩でした。
解析の結果、1日平均8,200歩以上歩く人は、肥満になる可能性が低く、胃食道逆流症や大うつ病と診断される頻度も低かったことが分かりました。また、歩数がより多い人の方が、健康状態がより良好でした。過体重の人が毎日の歩数を6,000歩から1万1,000歩に増やした場合、肥満になる確率が64%低下する可能性も示されました。一方、糖尿病と高血圧に関しては、効果が頭打ちになることが分かりました。つまり、1日の歩数が8,000~9,000歩までは、歩数が多いほどリスクが低下するものの、それ以上歩いてもリスクは変わらないという結果でした。
以上から、1日の歩数が8,000~9,000歩以上の人は、肥満、高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、胃食道逆流症、うつ病などの発症が少ないことが分かりました。
1日9,000歩が最適なのかは分かりませんが、目安にはなるのかもしれませんね。
ただし、運動は健康維持のための1要素に過ぎません。植物性食品ベースの食事、十分な睡眠、他者との社会的なつながりなども重要なので、バランスよくいきましょうw (小児科 土谷)