long COVIDの認知機能障害のメカニズムとワクチン接種の効果について検討した論文(Nat Immunol. 2024 Jun 20. doi: 10.1038/s41590-024-01868-z.)を紹介します。
(ま、認知機能低下は検査しない限り、なかなか自分で気が付けるものではないのですが・・)
米国からの研究です。
SARS-CoV-2ウイルス感染に対し、IL-1βはCOVID-19患者の海馬で上昇していたことが分かりました。
C57BL/6JマウスにSARS-CoV-2β変異体を経鼻感染させると、脳内におけるウイルスの直接的感染はなかったものの、Ly6Chi単球(炎症性単球)が浸潤しミクログリアも活性化しており、これらの細胞が神経炎症を引き起こすものと考えられました。炎症性サイトカインの産生、血液脳関門の障害、T細胞の浸潤も認められました。
さらに、SARS-CoV-2ウイルスが脳内IL-1βレベルを上昇させ、IL-1R1を介して海馬の神経新生の持続的な障害を誘導して認知障害を促進することが示されました(この病態はH1N1インフルエンザウイルスでは認められない)。最後に、低用量のアデノウイルスベクターによるスパイクタンパク質のワクチン接種によって、上述のSARS-CoV-2感染による海馬のIL-1β産生、神経新生の喪失、およびその後の記憶障害が予防できることが示されました。

(下段:新規オブジェクト探索試験でも認知機能低下が抑制された)
以上から、COVID-19による認知機能障害の機序にはIL-1βが関与し、ワクチン接種によってそのリスク軽減できる可能性があることが分かりました。
SARS-CoV-2ウイルスに感染した人の最大25%が感染後に認知機能障害を示すとされており、COVID-19に起因する記憶機能障害の症例は世界中で数百万例にのぼると考えられています。
予防できるものなら予防したい!と思うのは自分だけでしょうか。。 (小児科 土谷)


