PASC(=long COVID)の発生率がパンデミックの過程でどう変化したかを検討した研究(N Engl J Med. 2024 Jul 17.)を紹介します。
退役軍人省の健康記録を用いて、感染者44万1583人と非感染者474万8504人で、プレデルタ期、デルタ期、オミクロン期における感染1年後のPASC累積発生率を推定しました。
その結果、ワクチン未接種の感染者の累積発生率は、プレデルタ期で100人当たり10.42イベント、デルタ期で9.51イベント、オミクロン期で7.76イベントでした。一方、ワクチン接種者の累積発生率は、デルタ期で100人当たり5.34イベント、オミクロン期で3.50イベントで、ワクチン接種者はワクチン未接種者よりも1年後のPASCの累積発生率が低かった(デルタ期の差,-4.18イベント,オミクロン期の差,-4.26イベント)ことが分かりました。

PASC発生数は、プレデルタ期とデルタ期を合わせたものより、オミクロン期の方が5.23減少していたものの、その28.11%は時期(ウイルスの変化やその他の時間的影響)に関連しており、71.89%はワクチンに起因していました。
以上から、感染後1年間のPASCの累積発生率は、パンデミックの経過とともに減少していたものの、オミクロン期のワクチン接種者においても「依然として高かった」ということが分かりました。
SARS-Cov-2感染症は現在5類に位置づけられていますが、急性期合併症や後遺症の存在を考えると、まだまだ油断できない感染症だと思います。
流行の「波」に合わせて、適切な感染症対策(予防接種含む)を行いましょう。罹患しないで済むなら、それに越したことは無いのです。 (小児科 土谷)


