院長先生のブログ
モナリザは○○
今日は趣向を変えて、誰もが知っている絵画「モナリザ」の話しです。
絵画「モナリザ」をよく見てみると、左眼瞼内側に黄色腫がある、左手背の浮腫が皮下脂肪腫といった所見と年齢から家族性高コレステロール血症だったのでは?と推測されたことがあったのは有名な話です(Isr Med Assoc J. 2004 Aug;6(8):505-6.)。
今回紹介する論文(Mayo Clin Proc. September 2018;93(9):1325-1331)では甲状腺機能低下症の可能性について述べられており、前述した高コレステロール血症も甲状腺機能低下症に伴うものと推測されています。
*甲状腺機能低下症の場合、肝臓でのカロテン→ビタミンAの代謝が落ちることから、皮膚が黄色なのは角質層へのカロテン沈着の影響が考えられる
*毛髪が薄く後退している
*眉毛がない
*ミステリアスな微笑みは甲状腺機能低下症に伴う精神遅滞や筋力低下が関係している
*(よく見ると)甲状腺腫がある:当時のイタリアは穀物や根菜、マメ科が中心で肉やシーフードはほとんど食べられておらず、ヨード不足は一般的によく見られ、甲状腺腫は他の絵画でもよく見られたみたいです(下表参照)。一方、この絵が描かれた時期が出産直後ということから周産期の甲状腺炎で慢性的に甲状腺機能低下症に至った可能性も指摘されていました。
多少無理矢理感は否めませんが(笑)、「絵画から見る病気」というのも勉強するモチベーションに繋がるので、個人的に好きだったりします。
それにしても、有名な絵画だけあって、多方面によく推理されているな~と感心させられました。 (小児科 土谷)