人間の脳は、世代を重ねるごとに大きくなっているみたいです(JAMA neurology. 2024 Mar 25; pii: e240469.)。

Trends in Intracranial and Cerebral Volumes of Framingham Heart Study Participants Born 1930 to 1970 – PMC (nih.gov)

 

1925年~1968年の間に出生したフラミンガム心臓研究参加者3,226人(女性53%)の脳MRIのデータを用いて、出生年代により頭蓋骨および脳の容積に差が認められるのか否かを検討しました。

これらの参加者の中に認知症患者や脳卒中の既往歴のある人は含まれていませんでした。参加者の脳MRIは、1999年3月18日~2019年11月15日の間に実施され、実施時の対象者の平均年齢は57.4歳(範囲45〜74歳)でした。

 

その結果、脳のサイズは年代を追うごとに徐々に大きくなっていることが明らかになりました。例えば、1930年代生まれの人に比べて1970年代生まれの人では、頭蓋内容積が6.6%(1,234mL対1,321mL)、白質の体積が7.7%(441.9mL対476.3mL)、海馬の体積が5.7%(6.51mL対6.89mL)、脳表面積が14.9%(1,933cm2対2,222cm2)大きかったことが分かりました。

 

以上から、生まれた年代は脳の大きさと長期的な脳の健康に影響を与える可能性があり、人間の脳は世代を重ねるごとに大きくなっているようです。

 

脳のサイズが大きくなることで脳の予備能が高まり、認知症の発症リスクの低下に繋がる可能性があります。実際、米国で全人口に占めるアルツハイマー病患者の割合は減少傾向にあり、認知症の発症率は、1970年代から10年ごとに約20%減少していることが過去の研究で示されています。

 

・・ということは、加齢に伴う他の脳疾患の影響も緩和される可能性があることも予想できます。

それにしても、人間の体は奥深いですねw (小児科 土谷)