折角なので、昨日に引き続いてlong COVIDの病態で「持続感染」に関する論文(Lancet Infect Dis. April 22, 2024)を紹介します。
軽症COVID-19(オミクロン株以降)から回復した患者のさまざまな組織における持続感染とlong COVID症状との関連について検討した、中国からの単施設横断コホート研究が報告されました。
感染後約1ヵ月、2ヵ月、4ヵ月に残存手術検体、胃内視鏡検体、血液検体を採取し、SARS-CoV-2ウイルスはdigital droplet PCR法を用いて検出しました。
その結果、225人の患者から317の組織検体が採取され(残存手術検体201,胃内視鏡検体59,血液検体57)、ウイルスRNAは1ヵ月目の固形組織検体で16/53(30%)、2ヵ月目で38/141(27%)、4ヵ月目で7/66(11%)から検出された(検出率は経時的に低下)ことが分かりました。
ウイルスRNAは肝、腎、胃、腸、脳、血管、肺、乳房、皮膚、甲状腺を含む10種類の固形組織に分布していました(検出率の高い順に,肝>腎>胃>腸>脳)。
感染後2ヵ月の時点で,免疫不全患者9人のうち3人(33%)の血漿、1人(11%)の顆粒球、2人(22%)の末梢血単核球からウイルスRNAが検出されましたが、免疫不全ではない患者10人では検出されませんでした。
電話アンケートに答えた213人の患者のうち、72人(34%)が少なくとも1つのlong COVID症状を報告しており、疲労(21%,44/213人)が最も頻度が高かったことが分かりました。回復した患者におけるウイルスRNAの検出は、long COVID症状の発現と有意に相関していました(オッズ比5.17,p<0.0001)。ウイルスコピー数が多い患者ほど、long COVIDを発症する可能性が高かったことが分かりました。
以上から、軽症感染から回復した患者にもウイルスが残存している可能性があり、かつlong COVID症状と有意な関連があることが分かりました。
それにしても、SARS-Cov-2ウイルスは厄介なウイルスです。
高齢者や基礎疾患のあるハイリスクに属する方々は、罹患しないに越したことはないので、ご注意下さいw (小児科 土谷)