以前にも同様のネタを紹介したと思いますが、今回はその続きです。

骨髄内投与(静脈内投与より迅速な薬剤投与が可能)の臨床アウトカムへの影響について調べた研究( The New England journal of medicine. 2024 Oct 31; doi: 10.1056/NEJMoa2407780.)を紹介します。

A Randomized Trial of Drug Route in Out-of-Hospital Cardiac Arrest | New England Journal of Medicine

 

2021年11月~2024年7月に英国11の救急医療システムにおいて、院外心停止で救急救命士による心肺蘇生中に薬剤投与のため血管アクセスが必要となった成人患者を、骨髄路群または静脈路群に1対1の割合で無作為に割り付けました(割り付けは、施設で層別化し封筒法が用いられた)。

主要アウトカムは30日生存率、副次アウトカムは無作為化後の自己心拍再開、退院時の良好な神経学的アウトカム(修正Rankinスケールスコア[スコア範囲:0~6、高スコアほど障害が大きいことを示す]が3以下)などでした。

 

その結果、計1万723例がスクリーニングされ、6,096例が無作為化されました。このうち14例が誤って無作為化されていたため、解析対象は6,082例(骨髄路群3,040例、静脈路群3,042例)でした。

 

30日生存率は、骨髄路群が4.5%(137/3,030例)、静脈路群が5.1%(155/3034例)で、補正後オッズ比(OR)は0.94(95%信頼区間[CI]:0.68~1.32、p=0.74)でした。

退院時の良好な神経学的アウトカムは、骨髄路群が2,994例中80例(2.7%)、静脈路群が2,986例中85例(2.8%)で認められました(補正後OR:0.91、95%CI:0.57~1.47)。

あらゆる時点で自己心拍再開が得られた患者は、骨髄路群が3,031例中1,092例(36.0%)、静脈路群が3,035例中1,186例(39.1%)でした(補正後OR:0.86、95%CI:0.76~0.97)。試験期間中の有害事象は、骨髄路群で1件(特定の活動中の軽度下肢痛)が報告されました。

 

以上から、薬物療法を要する院外心停止成人患者において、骨髄路を用いても静脈路を用いた場合と比べて、30日生存率は高くならなかった(大差なし)ことが分かりました。

 

(蘇生処置の質に関するデータが収集されていないなど)いろいろ研究の限界はありますが、成人の院外心停止患者に対する血管アクセスは静脈路、骨髄路のどちらを用いても良いみたいです(状況により早く確保できる方を選択すれば良い)。 (小児科 土谷)