本日はクリスマス・イブということで、風刺の効いた(痛烈な皮肉のこもった)ちょっと変わったクリスマス絵本を紹介します。

 

『1993年のクリスマス』 ほるぷ出版(1988年)

レスリー・ブリカス:文 エロール・ル・カイン:絵 きたむらたろう:訳 ほるぷ出版(1988年)

 

人間世界のテクノロジーが進化していくなか、サンタさん達もその対応に追われてきました。

自動車に飛行機にロケットに人工衛星…夜空を橇で飛ぶサンタのはるか頭上を飛び交うこうした文明の機器にサンタさんは悩まされっぱなし。もはや安心して飛ぶこともできません。

おまけに、戦争だの、共和党だのと・・・人間世界のそうした殺伐とした世の中の変わりようにサンタクロースたちも困惑しきりです。


それでもサンタさんは世界中の子供たちに夢と希望を届けるべく毎年頑張って続けてきましたが、1993年のクリスマスはひどかった…とこぼします。

都会に行けばチンピラに殴られるわ、お巡りさんに職質されたり、麻薬密輸の疑いまでかけられたり・・・。まー悲惨ですw


この本の注目ポイントは出版年が1988年ということです。

つまり、当時から見て近未来のクリスマスを描いているということです。

「このままでは、いずれこんなふうになっちまうぞ!」と、警告の意味も込めて書かれた絵本なんだと思います。

 

件の1993年から、さらに30年以上・・・絵本のサンタさんだったら、何を思っているのでしょうか?


今や手のひらのスマホで世界といつでもつながることができ、SNSでは言いたい放題。。

そして、依然として戦争や人種差別が横行し、いじめ、虐待、詐欺に政治不信。。。

人間世界というもの、一体いつからこんなに殺伐とした世の中になったのか・・・。

サンタさんに、「もうイヤになっちゃうよね」と声をかけたくなってしまうくらいです。

 

ファンタジーとリアルの境目をいく語りはおもしろい。

痛烈な風刺がこれでもか!と続くので、子ども向けというより大人向けの絵本かもしれませんねw (小児科 土谷)