院長先生のブログ
子どもの熱中症④

今回は未就学児の熱中症予防の対策について考えてみましょう。
これまで述べてきたことを考えると、未就学児を暑い環境に放置すると、例え短時間であっても重症・致命的な熱中症を引き起こしてしまう危険性があることは皆様にも理解できると思います。
交通事故や火傷、溺水事故などの危険回避と同様、熱中症予防の基本姿勢は「目を離さず見守ること」に尽きます。
残念ながら、夏季の車内閉じ込め、置き忘れ事故は毎年国内で発生しています。
アメリカでも車内熱中症で毎年平均38人前後の子どもが命を落としていることが分かっており、その87%が3歳以下、54%が1歳以下と報告されています。
車内閉じ込め、置き忘れ事故の解決策をヒューマンエラーを防ぐためのSHELLモデルに当てはめてみると・・・
Software(体制整備):規制の強化(受け皿を整備した前提での)、一時預かり施設の整備
Hardware(技術):人感センサーや車内環境を知らせる技術
Environment(環境):温度、湿度、日射を制限する備品、シールド、屋根付き・地下駐車場
Liveware(当事者):家族の意識改革、未就学児の熱中症リスクの啓発、閉じ込められた場合の対処法を子どもに教える
Liveware(周囲の人):気づいた人の対処マニュアルの作成、社会全体の意識改革
といったところでしょうか。
2023年から保育所などの送迎バスに置き去り防止装置の設置が義務付けられたのは、皆様の記憶にも新しいと思います。
最早、家族(当事者)の注意だけではこの不幸な事故をゼロに出来ない状況です。社会全体で、少しずつでも着実に、この問題に向き合って事故を減らしていきましょう。 (小児科 土谷)