院長先生のブログ
自宅で食べる朝食が子どものメンタルには大切
子どもの朝食摂取習慣と心理社会的問題の発生との関連性について調べたスペインの論文(Frontiers in nutrition. 2022;9;871238. pii: 871238.)を紹介します。
スペインで行われている国民健康調査の2017年のデータを二次的に解析しました。
対象は同国の4~14歳の子ども3,772人(平均年齢9.4±3.2歳、男児50.6%)で、朝食の摂取習慣や心理社会的問題については、保護者へのアンケートにより把握しました。
その結果、全体の98.9%は習慣的に朝食を摂取していて、96.8%は自宅で摂取していました。
朝食の欠食や自宅外での摂取は、心理社会的問題の発生率の高さと有意な関連が認められました〔欠食はオッズ比(OR)3.29(95%信頼区間1.47~7.35)、自宅外での摂取はOR2.06(同1.27~3.33)〕。
また、朝食に、コーヒー、牛乳、紅茶、ココア、ヨーグルトなどを摂取しないことが、心理社会的問題の発生率の高さと関連していました〔OR1.76(1.21~2.55)〕。同様に、パン、トースト、穀類などを食べないことも、問題発生率の高さと関連していました〔OR1.31(1.01~1.73)〕。
一方、卵、チーズ、ハムなどを食べないことは、オッズ比の低さと関連していました〔OR0.56(0.38~0.83)〕。
以上をザックリまとめると、「子どもたちが朝食を食べること」が重要であるだけでなく、「どこで朝食を食べ、何を食べるか」も重要であるということです。
子どもの心理社会的問題を防ぐためには、朝食を健康的なライフスタイルの一部として推奨するだけではなく、「家庭で食べること」を推奨する必要があるみたいです。そして、朝食に乳製品や穀物を加え、飽和脂肪酸やコレステロールを多く含む動物性食品を最小限に抑えることで、子どもの問題行動のリスクを下げることが出来るかもしれません。 (小児科 土谷)