院長先生のブログ
喫煙と男性型脱毛症
今回は大人の健康ネタです。
喫煙と男性型脱毛症(AGA)発症の関連について調べた論文(Journal of cosmetic dermatology. 2024 Jan 04; doi: 10.1111/jocd.16132.)を紹介します。
2023年8月4日、PubMedで「hair loss(脱毛)、alopecia(脱毛症)、bald(頭髪のない)、androgenetic alopecia(男性型脱毛症)」「tobacco(タバコ)、nicotine(ニコチン)、tobacco smoking(喫煙)」の用語で当てはまる研究を検索した結果、2003~21年に発表された8件の研究が同定されました。全研究が観察研究で、症例対照または横断研究であり、対象は男性の現在喫煙者と過去に喫煙経験がある人でした。
得られたデータから、男性AGAの発症と重症化(軽度:ステージI-IIIから重度:ステージIV-VII)における喫煙状態(喫煙vs.非喫煙)と喫煙強度(喫煙減少vs.喫煙増加)の影響についてメタ解析を行い、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出しました。
その結果、喫煙経験のある男性は喫煙経験のない男性に比べ、AGAを発症する率が有意に高かった(OR:1.82、95%CI:1.55~2.14)ことが分かりました。
1日10本以上喫煙する男性は、1日10本未満の喫煙する男性に比べ、AGA発症する率が有意に高かった(OR:1.96、95%CI:1.17~3.29)ことも分かりました。
AGA男性では、喫煙経験のある男性は喫煙経験のない男性に比べ、疾患進行のオッズが有意に高かった(OR:1.27、95%CI:1.01~1.60)ものの、喫煙強度と疾患進行の間には有意な関連は認められませんでした。
以上から、喫煙経験のある男性は喫煙経験のない男性に比べ、AGAを発症する率が高いことが分かりました。世の男性は一応知っておいた方が良いと思いますw (小児科 土谷)