メニュー

   

お電話

見附市小児科 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

赤ちゃんの最初の沐浴のタイミングは?

新生児の最初の沐浴は出生後24時間経過してからにするようとWHOが推奨しています。

今日はその沐浴のタイミングに関する論文(J Glob Health. 2022 Aug 17:12:12004. doi: 10.7189/jogh.12.12004.)を紹介します。

Timing of first bath in term healthy newborns: A systematic review – PMC (nih.gov)

 

MEDLINE , Cochrane CENTRAL, Embase, CINAHL (2021年11月まで更新)によるpubmedによる検索、臨床試験データーベース、検索された論文の参考文献リストを用いたシステマティックレビューです。

主要アウトカムは新生児死亡率、全身感染症、低体温症、低血糖症、母乳育児率です。著者2名がバイアスリスクを別々に評価し、データを抽出し、相対リスクまたはオッズ比を用いて効果推定値を統合しました。エビデンスの確実性の評価にはGRADEシステムを用いました。

 

16研究(2つの臨床試験と14の観察研究)において、合計39020名の正期産またはそれに近い健常新生児を対象となりました。遅い沐浴と早期沐浴の定義は研究によってまちまちで、最も一般的な定義はそれぞれ24時間以上(6研究)と6時間以下(12研究)でした。早期沐浴を6時間以下と定義した研究については事後解析を行いました。

 

出生後24時間以内の沐浴と比較して、乳児死亡(OR = 0.46、95%信頼区間(CI) = 0.28~0.77、1件の研究、789人)および新生児低体温症(OR = 0.50、95%CI = 0.28~0.88、1件の研究、660人の新生児)のリスクが低下する可能性が示唆されました(確実性の低いエビデンス)。

退院時の母乳育児率(EBF)への影響に関するエビデンスは非常に不確実でした。

 

出生後6時間以上(9時間、12時間、または24時間以降)の遅い沐浴は、6時間以内の沐浴と比較して、低体温症(OR = 0.47、95%CI = 0.36-0.61;4件の研究、2711人の新生児)および低血糖症(OR = 0. 39、95%CI=0.23-0.66、3研究、新生児2775例)のリスクを減少させ、退院時の母乳育児率(EBF)を改善する(OR=1.12、95%CI=1.08-1.34、6研究、新生児6768例)可能性があることが示唆されましたが、新生児死亡率への影響は非常に不確実なエビデンスでした。

 

以上から、初回沐浴を少なくとも24時間遅らせることで、新生児の死亡率と低体温を減らすことができることが分かりました。そして、少なくとも6時間遅く沐浴開始することで、低体温と低血糖を予防し、退院時の母乳育児率を改善する可能性があることが分かりました。 

 

以前勤務していた病院の、一般新生児室における沐浴開始のタイミングは出生24時間以降でした。

普段行ってきた行為も、根拠があると自信をもって行うことが出来るようになると思います。

今回の論文のような検討は、今後も続けていって欲しいと思います。 (小児科 土谷)

この記事をシェアする