メニュー

   

お電話

見附市小児科 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

Koplik斑の診断精度

ひと昔前の小児科外来では、「麻疹」患者はそれなりにいたのですが、ワクチン2回接種化が進んだこともあり、国内で土着の麻疹に遭遇する機会は無くなってしまいました。そのため、最近話題に上るのは、海外から持ち込まれた麻疹によるものです。

 

麻疹を診断する際、「症状と経過でどこまで疑えるか」がポイントです。

修飾麻疹でなければ2峰性の経過を辿るので、2峰目の発熱と発疹出現で麻疹を疑い・診断することになります。2峰目の前に、麻疹らしいかどうかを判断する上でKoplik斑を発見することが「鍵」とされてきましたが、このKoplik斑について感度や特異度についてまとまった報告がなく、実は他の感染症でも観察されるのではないか?と指摘されていました。

 

そこで、Koplik斑の診断精度をみた日本からの報告( Frontiers in microbiology. 2019;10;269. doi: 10.3389/fmicb.2019.00269.)を紹介します。

Frontiers | The Association Between Documentation of Koplik Spots and Laboratory Diagnosis of Measles and Other Rash Diseases in a National Measles Surveillance Program in Japan (frontiersin.org)

 

2009~14年にかけて、麻疹および麻疹が疑われる3,023例の全国調査が行われました。

診断はPCRやRT-PCRを用いて行われ、合計3,023例が登録されました。このうち、Koplik斑が観察されたのは717例(23.7%)であり、麻疹と確定した症例の28.2%、風疹と確定した症例の17.4%、パルボウイルスB19感染症と確定した症例の2.0%にKoplik斑が認められました。その他、アデノウイルス、ライノウイルス、ヘルペスウイルスでもKoplik斑が観察されました。これらから、麻疹の診断マーカーとしてのKoplik斑の感度は48%、特異度は80%と報告されています。

以上から、他のウイルス感染症でもKoplik斑が観察されるということが分かりました。一般的な発熱外来におけるKoplik斑は確実な所見とは言えないのかもしれません。渡航歴、周囲の流行状況や接触歴などとともに総合的に判断した方が良さそうですね。 (小児科 土谷)

 

この記事をシェアする