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見附市小児科 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

COVID-19 ワクチン⑨

SARS-Cov-2ウイルスに対するワクチンを複数回接種する際、接種する腕を同じ側にするのか?交互にかえるのか?で意見が分かれていました。

今回はその「腕どっちに接種するの?」に関する話題( The Journal of clinical investigation. 2024 Jan 16;134(6); pii: e176411.)です。

JCI – Contralateral second dose improves antibody responses to a 2-dose mRNA vaccination regimen

 

新型コロナワクチンを2回接種した947人(平均年齢44.5歳、女性73%)を対象に、2回目接種を初回と同じ腕に受けた場合(同側)と反対側の腕に受けた場合(対側)とで血清中の特定の抗体反応がどのように変わるのかを評価しました。対象者のうち507人は同側に、440人は対側に接種を受けていました。

 

その結果、対側群では同側群に比べて新型コロナウイルスに特異的な抗体の抗体価(以下、総抗体価)が時間とともに有意に増加しており、2回目接種の後(約21日後)で1.2倍(P=0.020)、3回目接種の直前(0.5日前、2回目接種から約8カ月後)と接種後(2回目接種から約14カ月後)では1.4倍(P<0.001)であることが示されました。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合部位(RBD)に特異的な抗体(IgG抗体)についても、3回目接種直前で同側群の1.2倍(P=0.004)、3回目接種後で1.3倍(P=0.021)と同様の傾向が認められました。

 

次に、年齢、性別、ワクチンの接種間隔を一致させた54組の抗体価の推移を検討しました。

その結果、対側群の総抗体価とIgG抗体価は、3回目接種直前で同側群の1.7倍と1.5倍、3回目接種後で1.3倍と1.7倍であることが示されました。さらに、初期の新型コロナウイルスに近い擬似ウイルスと、南アフリカで2021年11月に最初に報告されたオミクロン変異株(B.1.1.529)に対する中和抗体価を調べたところ、3回目接種直前では擬似ウイルスに対する中和抗体価について対側群と同側群の間に有意差は認められませんでした。しかし、3回目接種後では対側群での擬似ウイルスに対する中和抗体価は同側群の約2倍、また、B.1.1.529に対する中和抗体価は約3.5〜4倍、有意に高かった(いずれもP<0.001)ことが分かりました。

 

以上から、SARS-Cov-2に対するワクチンを複数回接種する際、接種する腕を同じ側にするのではなく交互にかえることで、より高い効果を得られる可能性があるようです。

 

以前、同じような話題の論文を紹介したことがありましたが、その論文では「同側」の方が効果が高いとされていました。

Differences in SARS-CoV-2 specific humoral and cellular immune responses after contralateral and ipsilateral COVID-19 vaccination – eBioMedicine (thelancet.com)

今回の結果を持って、ただちに「2回目は初回と反対側の腕に接種するべき」とはならないでしょうね~。本当のところはどうなのか?今後の検証が待たれますねw (小児科 土谷)

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