院長先生のブログ
日本の斜視の有病率

日本人における年齢層別の斜視の有病率を調査し、そのサブタイプについて検討した論文(Am J Ophthalmol. 2023 Nov 30:262:222-228.)です。
全国的な集団ベースのコホート研究です。
レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、2009年から2020年までの年齢階級別・斜視既往・新規診断症例数を調査しました。2019年の斜視有病率と1年発症率を算出し、各斜視サブタイプの割合を分析しました。
その結果、斜視有病率は2.154%(2 709 207/125 708 000;95%CI、2.152%-2.157%;約50人に1人)でした。
年齢層別では小児と高齢者(特に75歳以上)で多い二峰性を示しており,学校検診で発見されて手術により壮年期で減るものの、加齢で新たに発生すると考えられました。
病型割合は外斜視 67.3%,内斜視 23.9%,上下回旋斜視 6.7%で、内斜視が最多である白人とは異なっていました。さらに、小児と比べて大人では上下回旋斜視が多く(1.4%と10.2%)、加齢の要素が示唆されました。
今回の調査で分かった有病率から、日本人の約50人に1人が斜視であるということになります。
もはや斜視は国民病の1つと言えるのかもしれませんね。 (小児科 土谷)