とっても暑い日が続いています。

熱中症や脱水予防のために、水筒を持って登園・登校されるお子さんもまだまだ多いかと思います。

 

以前、消費者庁が「水筒を持ち歩くときの転倒事故」について注意を呼び掛けていました。転倒した際に水筒がお腹に当たり、内臓損傷に至る事例が報告されたため、それを踏まえた注意喚起です。

Vol.635 水筒を持ち歩くときの転倒事故に注意! | 消費者庁 (caa.go.jp)

 

この注意喚起を機に、水筒をたすき掛けにしないことなどが呼び掛けられましたが、折角なのでこの機に子どものお腹のケガにはどんなリスクがあるのか、いざというときの受診目安、予防などについて知っておきましょう。

子どもの「お腹のケガ」、腹部鈍的外傷とは?

腹部鈍的外傷は、お腹に直接的な打撃を受けたり(蹴られる、物がお腹に強くぶつかる)、高所からの転落や交通事故などの高エネルギー外傷で複数の場所にケガを負ったりするときに起こるケガです。

一見するとお腹の表面に大きなケガはなさそうに見えますが、内臓を損傷しているケースがあります(子どものお腹のケガは外から見ただけでは分からないことがある)。損傷する臓器としては、わが国の報告では、子どもの腹部外傷の入院例のうち、肝臓が26%、脾臓と腎臓が12%だったとの報告があり、いずれも重要な臓器で、傷つくと大量出血のリスクや命を脅かす可能性がある(見過ごされると命にかかわる)ケガと言えます。また十二指腸や小腸など消化管を損傷すると穴が開く(穿孔)可能性もあり、緊急手術の適応となります。

 

お腹のケガは子どもに多い

このような腹部鈍的外傷は大人より子どもに多いことが分かっています。

子どもの日常のケガで多いものは転倒や転落で、子どもは大人より転びやすく、転んだ際に上手に受け身を取ることができないため、お腹にケガをしやすいとされています。また、大人よりも筋肉や皮下脂肪が薄いので衝撃から内臓を十分に守れないこと、成人と比べて肝臓や脾臓が胸郭より相対的に大きいため、肋骨で守られていない部分が多いことなども、腹部をぶつけた時に内臓を損傷しやすい理由です。

 

どのような場合に起きやすいのか?

原因として、水筒が取り上げられました(水筒は細長い形状をしているため外力が1点に集まりやすく、小さな力でも内臓損傷に至りやすい)が、水筒に限らず、転んだ時、お腹の前方に固いものがあれば、どんな場合でもリスクがあります。例えば、自転車のハンドル、空手などの運動時のお腹へのパンチやキックによるケガ、ブランコや鉄棒への強打、跳び箱の角にぶつけたケースなどが報告されています(特に、自転車ハンドル外傷には重症化リスクがあるので知っておきましょう)。

0059.pdf (jpeds.or.jp)

 

子どもの腹部鈍的外傷を防ぐには?

水筒によるお腹のケガの予防としては、転んだ時にお腹の正面に水筒が来ない対策が必要です。

  • 子どもが肩から水筒をぶら下げて移動する場合、水筒のぶら下げひもを斜めがけにしない
  • 斜めがけにする場合には水筒が腹部正面に来ないようにぶら下げる高さを工夫する
  • 水筒をぶら下げたまま走らない。

自転車のハンドル外傷については、いくら気を付けていても転倒を完全に防ぐことはできないため、この腹部鈍的外傷を完全に予防することは難しいのが実情です。

企業側の製品開発(ハンドルの形状を工夫など)も有効で、今後必要になるものと思われます。

 

また、子ども自身もお腹のケガのリスクについて知っておく必要があります。時間があるときに、子どもに言い聞かせておくことも大事です。

 

こんな時は医療機関を受診しよう

たとえ子どもが見た目元気でも、ぶつけた痕が腹部についていたり、腹痛が続いたりしている場合は医療機関を受診しましょう。

  • 受傷受傷直後、もしくはぶつけて1,2時間以内に吐いた
  • 症状はなく元気だが、お腹にぶつけた跡がついている
  • お腹をぶつけた後から顔色不良が続いている
  • おしっこの色がいつもと違う
  • 受傷後、お腹の痛みが続いている

上記に当てはまる症状があるようなら、また普段と様子が違うなど気になる点があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

 

暑い日の水筒にちなんで、今日は子どものお腹のケガについての話題でした。

お子さんを連れてお出かけする際は、お気を付け下さい! (小児科 土谷)