新型コロナ後遺症(long COVID/PASC)に対するファイザー社・mRNAワクチンの効果を調べた論文を紹介します。

Real-world effectiveness and causal mediation study of BNT162b2 on long COVID risks in children and adolescents – eClinicalMedicine

 

RECOVER PCORnet電子健康記録(EHR)プログラムにおける20の健康システムのデータを使用して、リアルワールドでのワクチン効果について検討しました。3つの独立したコホートが構築され、デルタ株のフェーズ(2021年7月1日~11月30日)の間の若者(12~20歳)、オミクロン株のフェーズ(2022年1月1日~11月30日)の間の子ども(5~11歳)および若者(12~20歳)が含まれました。

介入はBNT162b2ワクチンの初回接種で、主要評価項目にはSARS-CoV-2感染が確認された後のlong COVIDの確定診断例(または疑い例)、ならびにSARS-CoV-2感染後の急性後遺症(PASC)の身体システム別の状態クラスター(心臓、消化器、筋骨格、呼吸器、症候群カテゴリーなど)が含まれました。

 

その結果、デルタ株に対する分析には112,590人の若者(うち88,811人が接種済み)が含まれ、オミクロン株に対する分析には188,894人の子ども(うち101,277人が接種済み)および84,735人の若者(うち37,724人が接種済み)が含まれました。デルタ期間中、若者におけるBNT162b2ワクチンのlong COVIDに対する推定効果は95.4%(95% CI: 90.9%–97.7%)でした。オミクロン期間中、子どもにおけるlong COVIDに対する推定効果は60.2%(95% CI: 40.3%–73.5%)、若者における推定効果は75.1%(95% CI: 50.4%–87.5%)でした。

ワクチン接種の直接的な効果(SARS-CoV-2感染への影響を超えた効果)は、すべての3つの研究コホートで統計的に有意ではなく、デルタ株における若者での推定相対リスクは1.08(95% CI: 0.75–1.55)、子どもで1.24(95% CI: 0.92–1.66)、オミクロン株における若者で0.91(95% CI: 0.69–1.19)でした。一方で、SARS-CoV-2感染を防ぐことによる間接的な効果は、デルタ株の若者で0.04(95% CI: 0.03–0.05)、オミクロン期間の子どもで0.31(95% CI: 0.23–0.42)、若者で0.21(95% CI: 0.16–0.27)と推定されました。

 

以上から、ファイザーワクチン(BNT162b2 )はデルタ株流行期とオミクロン株流行期において、小児(5-11才)と青少年(12-20才)における 新型コロナ後遺症の発症リスクを軽減するのに効果的であったことが分かりました(ワクチンの有効性は、主に 新型コロナ感染のリスクを軽減させたためであると考えられる)。要するに、5-20才世代の人たちにおいて、新型コロナワクチンは後遺症リスクの低減に役立ち、その効果は感染リスクを下げることを介してであると思われる、ということです。

 

all-or-noneで考えると、新型コロナワクチンだけでは感染を完全には防げませんが、それでも感染リスクを有意に下げてくれるので、社会の中では結果的に後遺症リスクが下がるということなんでしょうね。 (小児科 土谷)