自分が旅行好きなのもありますが、これからは行楽シーズンがやってきます。お子さんと一緒に旅行される方もきっと多いことでしょう。

その一方、昔から「旅とは苦労するもの」でもあり、旅行中に体調不良になることは決して珍しいことではありません。

勿論、それは子どもにも当てはまります。旅にまつわる子どもの健康トラブルについて、少しでも理解を深めましょう!

乗り物にまつわるトラブル

自動車

旅行中の子どもの外傷で最も多いものは自動車事故です。海外旅行では、国によって車の通行が左側/右側で異なるため、道路を渡る際の左右の確認には十分注意を払いましょう。

チャイルドシートは自動車事故のリスクを低減させる有効な手段です。日本国内を車で移動する際は、道路交通法にも定められていますので、6歳未満の幼児にはチャイルドシートを必ず装着しましょう。海外の短期旅行でチャイルドシートを調達できず子どもを座席に固定できない場合は、車内でリスクが少ないとされる後部座席中央部に乗せると良いでしょう。

そして、乗り物酔い対策もお忘れなくw

飛行機

飛行機内の気圧は0.8気圧(海抜2700m相当)、酸素濃度は15%(地表は21%)なので、地上と比較すると飛行機内は低気圧・低酸素状態です。正常な乳幼児であれば特に制限なく旅行することが出来ますが、心疾患や呼吸器疾患等の基礎疾患を持つ子どもの中には、低酸素環境で酸素投与が必要な場合もあるため、事前準備の必要性について主治医と相談しておきましょう。

飛行機内でよく起こるトラブルでは、気圧の変化に伴う航空性中耳炎やフライト中に熱い飲み物をこぼして火傷する、テーブル等に指を挟んで怪我をするといったものがあります。

旅先での活動に伴うトラブル

水場のリスク

国内外に問わず、海や川など自然水域での活動では、不慮の事故に十分注意しましょう。大人は子どもを常に監視し、できるだけ近くで見守る必要があります。

また、中耳炎の治療で鼓膜チューブを留置されているお子さんや直近で鼓膜穿孔を起こしてしまったお子さんは、外耳道をしっかり塞ぐことが出来る耳栓をしない限り、水中にもぐったり、飛び込んだりしないように心がけましょう。

日光

野外活動をすると日焼けのリスクが高まります。緯度の低い熱帯地域では強い日差しのため日焼けのリスクが高まります。

生後6か月以降のお子さんには日焼け止めをきちんと使用しましょう。子どもに使用する製剤は吸収剤を含まない「紫外線吸収剤無配合」の製品が望ましく、SPF15以上、PA++~+++で十分とされています。

高山病

標高2000m以上の高い場所を旅行すると、子どもも高山病のリスクがあります。高山病の発生率は成人とほぼ同等です。

子どもは成人と比べて、高山病で起こる頭痛などの症状を認識できなかったり、訴えられなかったりするので、高山病発症の認識が遅れる可能性があります。

また、先天性心疾患や21トリソミー等の基礎疾患を有する子どもは高地肺水腫などの合併症リスクがあるため要注意です。

動物との接触

動物咬傷の原因となる動物は犬が最多であることが知られています。

外傷や細菌感染、海外では狂犬病のリスクがあるため、咬まれた場合は直ちに医療機関を受診しましょう。狂犬病の感染リスクは犬だけではありません。哺乳動物全てに存在するといっても過言ではありません。渡航先によっては、事前に狂犬病の予防接種が望ましい地域もあるので、きちんと確認しておきましょう。

慢性疾患のある子どもの対応

心臓や呼吸器などに基礎疾患をもつお子さんの場合、長期の旅行ではすぐに酸素投与などの処置が出来る医療機関にアクセスできるよう、事前に情報収集しておきましょう。

基礎疾患には色々あり、個々のケースで対応が異なります。事前に主治医と相談し、診断書や急変時の指示書などを携帯しておくと良いでしょう。また、糖尿病でインスリン注射をしているお子さんでは、注射器や薬剤を携帯する必要があるため、空港で入国管理職員に提示するための診断書や薬剤携帯証明書が必要になります。

 

総論的な意味合いで、旅にまつわる子どもの健康トラブルについて簡単にまとめてみました。

一応、日本旅行医学会の認定医でもあるので、これからの行楽シーズンに向けて、今後もこまめに情報発信をしていこうと思います。

 

お子さんと楽しい旅行が出来るよう、きちんと準備して行楽シーズンに臨みましょう! (小児科 土谷)