認知症の発症・進行には神経炎症が関連しており、神経向性ウイルスが認知症の発症や進行の一因となっている可能性が指摘されています。
これまでに帯状疱疹ワクチンが認知症発症を予防する可能性があるとの報告がなされていますが、認知症の進行も抑制する可能性があるみたいです( Cell. 2025 Dec 11;188(25);7049-7064.e20. doi: 10.1016/j.cell.2025.11.007.)。
The effect of shingles vaccination at different stages of the dementia disease course: Cell
ウェールズのプライマリ診療所の電子カルテのデータから1925年9月1日~1942年9月1日生まれの30万4,940例を抽出し、うち認知障害歴のない28万2,557例を軽度認知障害(MCI)発症リスクの解析対象とし、すでに認知症と診断された1万4,350例を認知症関連死亡の解析対象としました。
ウェールズでは帯状疱疹ワクチン接種プログラム開始時にワクチンの数に限りがあったため、開始直後に80歳の誕生日を迎えた人は1年間ワクチン接種対象となったのに対し、直前に誕生日を迎えた人は生涯にわたって対象外となり、ワクチン接種率に大きな差が出たことを利用し、接種資格の有無と、実際の接種の有無で比較しました。
その結果、フォローアップ中にMCI発症リスク解析対象の7.3%(2万712例)がMCIと診断されました。ワクチン接種資格あり群(資格あり群)ではMCI発症が1.5パーセントポイント減少し、実際にワクチンを接種した群(接種群)は3.1パーセントポイント減少しました。
認知症関連死亡解析対象の49.1%(7,049例)が認知症関連で死亡していました。資格あり群では認知症関連死が8.5パーセントポイント低下し、接種群は29.5パーセントポイント減少していました。全死亡率においても資格あり群は6.5パーセントポイント、接種群は22.7パーセントポイント低下していました。
MCI発症リスクおよび認知症関連の死亡リスク低減効果は、女性において有意差が認められ、男性では統計学的な有意差は認められませんでした。認知症の病型別では、混合型認知症において、ほかの認知症(アルツハイマー型や血管性)よりも相対的な効果が高い傾向が示唆されました。
今後の大規模ランダム化比較試験が待たれますが、帯状疱疹ワクチンには早期のMCIから認知症の最終段階である死亡に至るまで、認知症のリスクと進行を抑制する可能性があるようです。
当院でも帯状疱疹ワクチンを接種することが出来ます。
接種をご希望の方は、ご連絡ください。 (小児科 土谷)

