麻疹ワクチンで獲得した血清抗体陽性率が時間経過とともにどのように変化するか調べた論文(EClinicalMedicine. 2025 Nov 3:89:103564. doi: 10.1016/j.eclinm.2025.103564. eCollection 2025 Nov.)を紹介します。
1980年1月から2025年4月までに、PubMed、Embase、Scopus、Web of Science、コクランライブラリに登録されていた研究から、麻疹ワクチン接種者の血清学的検査の結果を報告していた臨床試験、横断研究、コホート研究、10人以上を対象にした症例シリーズ研究を選び出しました。
主要評価項目はワクチン接種歴があり、麻疹IgG抗体が陽性になっていた人の割合に設定し、副次評価項目は麻疹血清陽性率の経時的変化とし、接種からの経過時間と血清陽性率の関係を明らかにするメタ回帰分析を実施しました。
条件を満たした18件の研究を分析対象としました(内訳は、横断研究が9件、前向きコホート研究が5件、後ろ向きコホート研究が2件、前向きコホート研究と横断研究の混合が2件)。それらは1994~2024年に論文発表されており、10カ国の計2万3236人のワクチン接種者について報告していました。1件当たりのサンプルサイズは56人から1万2190人の範囲でした。
対象者全体では、陽性者の割合は87.8%(95%信頼区間83.9-91.2)でしたが、研究間の異質性は大きく(I2=97.9%)、対象者のほとんどは麻疹ワクチンを2回以上接種していたものの、単回接種者の血清陽性率は84.3%(71.6-93.9)で、複数回接種者は88.8%(84.4-92.6)でした。
12件の研究が、血清陽性率の経時的な変化に関するデータを報告しており、最後の麻疹ワクチン接種からの経過時間が長くなるにつれて、血清陽性率は低下しており、接種後10年以内は92.9%(84.3-98.4:I2=90.8%)でしたが、11~15年後には87.0%(70.4-97.4:91.9%)、16~22年後は82.8%(67.8-93.9:81.3%)、23年以上経過した時点の評価では81.9%(30.8-100:93.0%)になっていました。
メタ回帰分析の結果、ワクチン接種者における麻疹の血清陽性率は、年間0.48%ずつ低下することが示唆されました。β=-0.048(95%信頼区間-0.078から-0.018)。
以上から、麻疹ワクチン接種後の抗体陽性率は比較的高く維持されているものの、10年後以降は減衰していく模様です(接種から10年以内では約93%だったものの、23年以上たつと約82%に減衰していた)。
今有している抗体価が減衰する可能性があることを考えると、再接種のタイミングなどを決めるうえで更なる研究が必要だと思います。
今後の研究結果を待ちましょう。 (小児科 土谷)

