休日診療では大人の患者さんも多く受診されるので、たまには成人領域の話題に触れたいと思います。
うつ病や不安症の患者さんは心臓病のリスクが高いみたいです( Circulation. Cardiovascular imaging. 2025 Dec 17;e017706. doi: 10.1161/CIRCIMAGING.124.017706.)。
マサチューセッツ総合病院ブリガム・バイオバンクの2010~2020年のデータが用いられ、解析対象者数は8万5,551人で、中央値3.4年(四分位範囲1.9~4.8)の追跡期間中に3,078人(3.6%)が主要心血管イベント(MACE〔心筋梗塞、心不全、脳卒中など〕)を発症していました。
解析の結果、うつ病と診断されている人ではそうでない人よりも、MACEリスクが24%高いことが明らかになりました(ハザード比〔HR〕1.24〔95%信頼区間1.14~1.34〕、P<0.001)。また、不安とうつ病が併存している場合には35%のリスク上昇という、より強い関連が認められました(HR1.35〔同1.23~1.49〕、P<0.001)。この関連は、人口統計学的因子、社会経済的因子、生活習慣、心血管疾患の既往を調整した後も有意でした。
解析対象者のうち、ストレスによる神経活動への影響を評価可能な画像検査を1,123人が受け、心電図検査を7,862人が受けており、1万2,906人は炎症反応のバイオマーカーであるC反応性蛋白(CRP)が測定されていました。それらのデータ解析から、うつ病と診断されている人はストレスに関連のある脳領域である扁桃体の活動が亢進しており(β=0.16、P=0.006)、神経系が過剰に働いていることを示唆する心拍変動の低下も見られ(β=-0.20、P<0.001)、炎症反応の亢進を意味するCRPの上昇(β=0.14、P<0.001)も認められました。不安症と診断されている人にも同様の傾向が見られました。
以上から、うつ病や不安症は心臓病のリスクを高めるようです。
うつ病と不安症はいずれも心臓病のリスク上昇と関連しているようですが、喫煙などの生活習慣や社会経済的要因、および糖尿病や高血圧といったリスク因子を考慮しても、その関連性が強固であった点は重要だと思います。
心臓の健康を守るためにも、メンタルヘルスは思っている以上に重要なんですね。 (小児科 土谷)

