これまでlong COVIDの病態と認知機能障害を引き起こすメカニズムについて触れてきました。

今回はCOVID-19感染後に生じる画像変化についての研究を紹介します（Nature (2022). https://doi.org/10.1038/s41586-022-04569-5）。

英国のUK Biobankに登録された51～81歳で、2回の頭部MRI検査を行い、その検査の間隔（平均日数141日；4か月半）の間にCOVID-19感染を経験した401名と対照384名の脳の変化を比較しました。

≪結果≫

〇感染者では以下の有意な経時的な影響が確認された

1）眼窩前頭皮質（意思決定に重要な役割を果たす、他に味覚・臭覚含む感覚、情動、ストレス耐性）および海馬傍回における灰白質厚および組織コントラストの大幅な減少が認められた

2）一次嗅覚皮質と機能的に関連する領域における組織損傷マーカーの大きな変化

3）全脳サイズの大幅な減少

〇感染者は対照より大きな認知機能の低下を示した

〇これらの画像および認知機能の変化は入院患者15名を除いても確認された

以上から、これらの変化が長期的に持続するかは不明であるが、COVID-19感染者には眼窩前頭皮質などに顕著な器質的な変化が生じていることが分かりました。

こういう事実を知ると、COVID-19には罹患したくないもんだと思わされます。自分ももう若くは無いものでｗ　（小児科　土谷）