小児のCOVID-19に関する論文（JAMA Neurol. 2021;78(12):1503-1509.（doi.org/10.1001/jamaneurol.2021.3821））です。

COVID-19に罹患した小児に精神・神経症状が出現することがあります。これらの小児の脳脊髄液中に抗SARS-CoV-2抗体および自己抗体が存在するかどうかを検討した研究です。

対象はCOVID-19感染が確認され入院し、神経学的診察を依頼された10代の患者3名です。この3名は重度の不安から妄想性精神病といった亜急性神経・精神症状を呈していました。対象となった3名のうち2名に髄液中に抗SARS-CoV-2抗体が認められました。この2名の患者の髄液中のIgGは免疫染色を行うと抗神経抗体陽性でした。免疫療法に良好な反応を示した1名は統合失調症を含む精神疾患でリスク遺伝子として報告されているtranscription factor 4（TCF4）を標的とする自己抗体がcell based assayにて確認されました。

COVID-19感染後の亜急性期に神経精神症状を呈する小児では、髄液中に抗SARS-CoV-2抗体と抗神経抗体が認められることがあり、これらの患児では免疫療法に反応する可能性がある。　（小児科　土谷）