動脈硬化といえば、現代病かな?と思ってしまいますが、どうやらそうでも無かったみたいです(European heart journal. 2024 May 28; pii: ehae283.)。

Atherosclerosis in ancient mummified humans: the global HORUS study | European Heart Journal | Oxford Academic (oup.com)

 

本研究では、世界中の成人のミイラのCT画像データを用いて、動脈硬化の有無を調査しました。

動脈硬化は、動脈と予測される場所にカルシウムの沈着が見られる場合を「ほぼ確実な動脈硬化」、識別可能な動脈の壁にカルシウムの沈着が見られる場合を「確実な動脈硬化」と見なしました。

調査対象のミイラは、古代エジプト人(161体)、低地の古代ペルー人(54体)、ボリビア高地の古代アンデス人(3体)、19世紀のアリューシャン列島のアレウト族(4体)、16世紀のグリーンランドのイヌイット(4体)、古代プエブロ族(5体)、中世のゴビ砂漠の牧畜民(4体)の7つの文化圏に由来するものに、19世紀のアフリカ系米国人(1体)とオーストラリアの先住民(1体)も加えた計237体でした(これらのミイラの死亡時の平均年齢は40±11.6歳で、58.6%(139体)が男性)。

 

その結果、全ての文化圏に属する89体(37.6%)のミイラで「確実な動脈硬化」、または「ほぼ確実な動脈硬化」が確認されたことが分かりました。

動脈硬化が認められる場所を多い順に並べると、大動脈(51体、21.5%)、腸骨-大腿動脈(49体、20.7%)、膝窩-脛骨動脈(38体、16%)、頸動脈(33体、14%)、冠動脈(9体、0.4%)でした。

一方、男性と女性の間(38.1%対38.5%、P=0.36)や、エジプト人と非エジプト人(上流階級に属さない者が多い)との間(39.1%対38.5%、P=0.48)には、動脈硬化が見つかったミイラの割合に有意な差は認められませんでした。

以上から、紀元前2,500年以前に遡る全ての時代、全ての文化圏のミイラにおいて、男女ともに、上流階級の人物であるか否かにかかわりなく、動脈硬化が認められたことが分かりました。

 

動脈硬化は現代病とされてきましたが、人間には生まれつき動脈硬化のリスクがあるみたいです。

喫煙や栄養バランスの悪い食事など、現代人の抱える心血管系のリスク因子がこれに上乗せされる形で動脈硬化の程度とその影響を増大させている可能性が考えられます。常日頃の食生活には気をつけなければなりませんねw (小児科 土谷)