ヒトパピローマウイルス(HPV)感染による尋常性疣贅に対する麻疹・ムンプス・風疹混合(MMR)ワクチンの病変内注射を行う免疫療法の有効性と安全性を前向き比較試験で検討した論文(Indian J Dermatol. 2023 Jul-Aug;68(4):486. )を紹介します。

Intralesional Measles, Mumps and Rubella Vaccine versus Formic Acid Puncture in the Treatment of Common Warts: A Prospective Randomised Study – PMC (nih.gov)

 

18歳以上で全身療法または局所療法を受けていない単発または多発性(最大10病変)の尋常性疣贅患者60例を登録し、30例ずつ、1病変当たり0.3mLのMMRワクチン病変内注射を行うMMRワクチン群と、26G皮下注射針を用いて85%ギ酸の穿刺投与を行うギ酸群に30例ずつ割り付けました。2週間隔で5回の治療を実施し、治療終了後3カ月まで追跡しました。

 

その結果、治療終了時点で、MMRワクチン群では62.5%が完全奏効(病変の完全消失)、33.3%が部分奏効(50~99%の病変縮小)、4.2%が無反応(0~49%の病変縮小)で、ギ酸群ではそれぞれ31.8%、63.6%、4.5%だった。治癒率はMMRワクチン群で有意に高かった(P=0.031)ことが分かりました。そして、両群ともに治療終了後3カ月の追跡期間中に再発は認められませんでした。

安全性の評価では、MMRワクチン群の全例に中等度~重度の注射時疼痛、4例(13.3%)に紅斑、8例(26.7%)に炎症後色素沈着が認められた一方、ギ酸群では8例(26.7%)に灼熱感が認められました。そして、介入を要する副反応および重篤な副反応は認められませんでした。

 

以上から、麻疹・ムンプス・風疹混合(MMR)ワクチンの病変内注射を行う免疫療法は85%ギ酸(カルボン酸)穿刺投与と比べ治癒率が有意に高く、安全性も良好であることが分かりました。

 

ちなみに、麻疹・ムンプス・風疹混合(MMR)ワクチンの病変内注射を行う免疫療法の機序として、MMRワクチンの病変内注射を行うと、各種の抗原および疣贅組織に対する遅延型過敏反応が引き起こされ、さらにヘルパーT細胞1型(Th1)サイトカイン産生によってナチュラルキラー(NK)細胞の活性化を介してHPVが排除されることが考えられています。

 

何にせよ、一番最初にこの治療法を考えついて、実行に移した人は改めて凄いな~っと思います(川崎病のγ-glob 2g/kgや血管腫に対するヘマンジオイルシロップなど、今でこそ世間に知られる治療になりましたが、自分だったら最初に実行できたとは思えませぬ・・)。

このような治療が広まっていくのか? 今後の動向が注目されますねw (小児科 土谷)