そろそろインフルエンザワクチンのシーズンがやってきます。

卵アレルギーのある未成年者(2~18歳)を対象として、卵成分を含む弱毒生インフルエンザワクチン(LAIV)の安全性について検討したちょっと古めの論文( BMJ. 2015 Dec 08;351;h6291. doi: 10.1136/bmj.h6291.)を紹介します。

Safety of live attenuated influenza vaccine in young people with egg allergy: multicentre prospective cohort study | The BMJ

 

本研究は2014年9月~2015年2月のインフルエンザシーズンに行われました。

英国30施設で卵アレルギーのある2~18歳の779例(年齢中央値5.3歳、65.2%が男子)を集め、LAIVを接種しました。被験者のうち270例(34.7%)は卵でアナフィラキシーを起こした既往歴があり、157例(20.1%)は呼吸器系/心血管系の症状を経験したことがありました。また、445例(57.1%)が、医師による喘息または反復性喘鳴との診断歴がありました。

 

被験者は、ワクチン接種後少なくとも30分間観察され、72時間後に電話でフォローアップを受けました。喘息/反復性喘鳴歴のある児はさらに4週間後にもフォローアップを受けました。

 

主要評価項目は、卵アレルギーのある未成年者へのワクチン接種後2時間以内の有害事象の発生率としました。また、副次アウトカムとして、LAIV接種後72時間までの後発症状の発生率(非アレルギー関連含む)、喘息/反復性喘鳴のある児の喘息コントロールスコアの接種前と接種1ヵ月後の変化などを評価しました。

 

その結果、全身性アレルギー反応は報告されませんでした(95%信頼区間[CI]上限値は全集団で0.47%、卵アナフィラキシーがあった児で1.36%)。9例が軽度の症状を報告したものの、局所的なIgE型アレルギー反応でした。

ワクチン接種の後発症状と思われる報告は221例で認められました。72時間以内の下気道症状の報告は62例(8.1%、全集団の95%CI:6.3~10.3%)でした(29例は両親が喘鳴と報告)。

入院した被験者はいませんでした。また、4週時点までに、喘息コントロールテストの評価に基づく下気道症状の増悪も認められませんでした。

以上から、卵アレルギーを有する未成年者において、LAIVによる全身性アレルギー反応を引き起こすリスクは低いことが分かりました。喘息/反復性喘鳴のコントロール良好な未成年者においても、忍容性は良好と考えられました。

 

本研究にはアナフィラキシー歴や喘息を持つ小児が数多く含まれており、貴重な報告と考えられます。

ワクチンを接種する医療機関には、アナフィラキシーが起こったときに対応できるように十分準備しておくことが必ず求められますが、今回の結果を見る限り、アレルギー反応を怖がり過ぎているのかもしれませんw (小児科 土谷)