冬のインフルエンザシーズンということもあり、インフルエンザに関連した話題( JAMA internal medicine. 2025 Jan 13; doi: 10.1001/jamainternmed.2024.7193.)です。非重症のインフルエンザ患者に対する抗ウイルス薬の有用性を評価するため、系統的レビューとネットワークメタ解析を行った論文です。

Antiviral Medications for Treatment of Nonsevere Influenza: A Systematic Review and Network Meta-Analysis | Infectious Diseases | JAMA Internal Medicine | JAMA Network

 

MEDLINE、Embase、CENTRAL、CINAHL、Global Health、Epistemonikos、ClinicalTrials.govをデータベース開設から2023年9月20日まで検索しました。対象は、非重症インフルエンザ患者の治療として、直接作用型インフルエンザ抗ウイルス薬をプラセボ、標準治療(各施設のプロトコールに準拠またはプライマリケア医の裁量)、他の抗ウイルス薬と比較したランダム化比較試験でした。

ペアのレビュワーが独立して試験をレビューしてデータを抽出し、バイアスリスクを評価しました。頻度論に基づく変量効果モデルを用いたネットワークメタ解析でエビデンスを要約し、GRADEアプローチでエビデンスの確実性を評価しました。主要アウトカムは死亡率、入院、集中治療室入室、入院期間、症状緩和までの時間、抗ウイルス薬耐性の発現、有害事象などでした。

 

その結果、3万4,332例が参加した73件の試験が適格とされ、平均年齢の中央値は35.0歳、男性が49.8%でした。


評価された抗ウイルス薬は、バロキサビル、オセルタミビル、ラニナミビル、ザナミビル、ペラミビル、umifenovir、ファビピラビル、アマンタジンで、すべての抗ウイルス薬は、標準治療またはプラセボと比較して、低リスク患者と高リスク患者の死亡率にほとんどまたはまったく影響を与えなかった(エビデンスの確実性「高」)ことが分かりました。


抗ウイルス薬(ペラミビルとアマンタジンはデータなし)は、低リスク患者の入院にほとんどまたはまったく影響を与えず(エビデンスの確実性「高」)、高リスク患者の入院については、オセルタミビルはほとんどまたはまったく影響を与えず(リスク差[RD]:-0.4%、95%信頼区間[CI]:-1.0~0.4、エビデンスの確実性「高」)、バロキサビルはリスクを低減した可能性があった(RD:-1.6%、95%CI:-2.0~0.4、エビデンスの確実性「低」)ことが分かりました(他の抗ウイルス薬は効果がほとんどないか効果は不確実)。


バロキサビルは症状持続期間を短縮した可能性が高く(平均差[MD]:-1.02日、95%CI:-1.41~-0.63、エビデンスの確実性「中」)、umifenovirも症状持続期間を短縮した可能性があった(MD:-1.10日、95%CI:-1.57~-0.63、エビデンスの確実性「低」)ことが分かりました。オセルタミビルは症状持続期間に有意な影響をもたらしませんでした(MD:-0.75日、95%CI:-0.93~-0.57、エビデンスの確実性「中」)。

 

治療に関連する有害事象については、バロキサビルでは有害事象がほとんどまたは全く認められず(RD:-3.2%、95%CI:-5.2~-0.6、エビデンスの確実性「高」)、オセルタミビルでは有害事象が増加した可能性が高かった(RD:2.8%、95%CI:1.2~4.8、エビデンスの確実性「中」)ことが分かりました。

 

以上から、バロキサビルは非重症インフルエンザ患者の治療に関連する有害事象を増加させることなく、高リスク患者の入院リスクを低減し、症状改善までの時間を短縮する可能性があることが分かりました。一方、他の抗ウイルス薬は、アウトカムにほとんどまたはまったく影響を与えないか、または不確かな影響しかなかったことが分かりました。

 

残念ながら、非重症インフルエンザ患者に有効な抗インフルエンザ薬は限定されるようです。

罹患しないことに越したことはないので、シーズン到来前に、きちんと予防接種を受けましょうね。 (小児科 土谷)