当院にもアトピー性皮膚炎の患者がたくさん来院されます。そこで今回はアトピー性皮膚炎に関して。
出生後から成人に至るアトピー性皮膚炎の自然史に関する研究を紹介します(JAMA Netw Open. 2025 Dec 1;8(12):e2544324.)。
Incidence and Remission of Atopic Dermatitis in a German Birth Cohort – PMC
1990年にドイツの5都市の6医療機関で新生児を募集して行われたMulticenter Allergy Study(MAS)を利用したコホート研究を実施しました。
30歳まで追跡調査し、組み入れ対象は健康な満期産の新生児で、アレルギーリスクが高いと考えられる児を多めにサンプリングしました。ハイリスクの定義は、両親または兄弟姉妹にアレルギーがある、または臍帯血のIgEが0.9kU/L以上としました。
30歳になるまで、参加者の親または本人が質問票を用いた調査に最大20回回答し、採血を含む臨床評価を9回実施しました。また、性別、アトピー性皮膚炎の発症年齢、親のアレルギー歴、一般的な食物および空気中のアレルゲンに対する幼少期の感作、3歳から5歳までの鼻炎、6歳時の喘息などに関する情報を得ました。
主要評価項目はアトピー性皮膚炎の発症と寛解とし、発症は標準化された質問票と医師の診断によって判定しました。寛解は、少なくとも12カ月間症状がないことと定義しました。
登録した1314人(女性が48%)のうち、707人(57%)は両親のどちらかまたは両方がアレルギーを持っていました。30年後の追跡調査の対象となったのは482人(37%)でした。
全体では658人(50.1%)が5歳までにアトピー性皮膚炎を発症しており、31人(2.4%)は20歳時点または30歳時点で新たにアトピー性皮膚炎の発症を申告していました。5歳までの発症者の多くが男性で、5歳までに大気中に存在するアレルゲンまたは食物アレルゲンの少なくとも1つに感作されており、親にアレルギー歴がありました。
生後5年間のアトピー性皮膚炎の累積発症率は、親がアレルギーだった小児では57%、両親共にアレルギーではなかった小児は43%でした。どちらのグループも、累積発症率は1歳から2歳の間に最も急激に上昇し、5歳時点まで上昇はやや緩やかになり、それ以降は30歳まで非常に緩やかに上昇していきました。新規アトピー性皮膚炎の年間発生率は、2歳から13歳になるまでは低下していたが、その後わずかに増加していました。アトピー性皮膚炎の有病率は、1歳から5歳まで一貫して20%を超えていましたが、それ以降は、20歳になるまでの間に約15%から10%に減少しました。30歳時点での有病率は再び上昇していました。
生後5年以内にアトピー性皮膚炎を発症した患者の87%は、20歳と30歳の時点では無症状でした(寛解達成)。この割合は、思春期前および思春期にアトピー性皮膚炎を発症した少数の患者でわずかに高かった(13人中12人、92%)ことが分かりました。5歳までにアトピー性皮膚炎を発症していた658人のデータを分析したところ、4通りの経過が推定されました。具体的には、26.6%が幼少期、44.2%が学齢期に寛解を達成し、いずれも30歳時点まで寛解状態を維持していました。17.6%は青年期に実質的な寛解(30年間の寛解確率は0.5超)を、11.6%は成人期の部分的寛解(30年間の寛解確率は0.6未満)を経験していました。
寛解を達成できないことと関連していた要因は、生後2年以内の発症(調整リスク比1.59:95%信頼区間1.12-2.26)、女性(1.56:1.23-2.00)、大気中に存在するアレルゲンまたは食物アレルゲンに対する早期の感作(1.95:1.25-3.05)、6歳時点の喘息(2.22:1.70-2.89)、および3~5歳でのアレルギー性鼻炎(1.54:1.21-1.95)でした。
以上から、5歳未満で発症したアトピー性皮膚炎患者の87%が成人期には寛解していたことが分かりました。その一方、女性、2歳までに発症した患者、早期にアレルゲンに感作されていた患者、他にもアレルギー性疾患がある患者では寛解率が低かったことも分かりました。
今回は出生後から成人に至るアトピー性皮膚炎の自然史に関する研究を紹介させて頂きました。 (小児科 土谷)

