院長先生のブログ
父親の思春期での喫煙が子どもの健康に影響する
10代前半での男児の喫煙が将来の子どものDNAに悪影響を与え、子どもの喘息、肥満、肺機能低下のリスクを高めることが分かりました(Clinical epigenetics. 2023 Aug 31;15(1);131. pii: 131.)。
RHINESSA試験参加者875人(7〜50歳、男性457人、女性418人)を対象にエピゲノムワイド関連研究(EWAS)を実施してDNAメチル化パターンを調べ、参加者の母親が妊娠する前の父親の喫煙との関連を検討しました。参加者のうちの328人では、父親が母親の妊娠前(参加者の出生年より2年以上前)に喫煙を開始しており、うち64人では、父親の喫煙開始年齢が15歳未満でした。
その結果、15歳未満で喫煙を開始した父親の子どもでは、14種類の遺伝子にマッピングされた19カ所のCpGサイトでのメチル化が確認され、これらのメチル化は喘息、肥満、および喘鳴と関連していることも示されました。さらに、19種類のメチル化のうちの16種類は、過去の研究で母親や本人の喫煙歴と関連付けられていないものでした(この新しいメチル化バイオマーカーは思春期初期に喫煙を開始した父親の子どもに特有のものである可能性がある)。
今回の研究で分かったエピジェネティックなマーカーの変化は、思春期初期に喫煙を開始した父親の子どもで顕著でした。
将来の子どもの健康は、現在の若者(将来の父親・母親)の行動にかかっています。
10代前半での男児の喫煙は、将来の子どものDNAに悪影響を与え、将来の子どもの喘息、肥満、肺機能低下のリスクを高めます。
将来の子どものために、「禁煙」。大事です! (小児科 土谷)