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見附市小児科 2023年春開院 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

虫垂切除術のための院内待機時間で穿孔や合併症リスクに差が生じるか?

誰もがご存じ、虫垂炎についてのお話です。

虫垂炎の標準治療は虫垂切除術ですが、院内待機時間が長くなるほど穿孔や合併症のリスクは高まるのでしょうか?「PERFECT試験」で、急性単純性虫垂炎が疑われる患者に対する、8時間以内の虫垂切除術と24時間以内の虫垂切除術で、虫垂穿孔のリスク・術後の合併症の発生率に差があるのか検討しています( Lancet. 2023 Oct 28;402(10412);1552-1561.)。

Role of preoperative in-hospital delay on appendiceal perforation while awaiting appendicectomy (PERFECT): a Nordic, pragmatic, open-label, multicentre, non-inferiority, randomised controlled trial – The Lancet

PERFECT試験はフィンランドの2つの病院とノルウェーの1つの病院で実施された非盲検無作為化対照比較非劣性試験です。対象は、年齢18歳以上、急性虫垂炎と診断され、緊急虫垂切除術が予定されている患者でした(複雑性虫垂炎を除外するため、症状が3日以上持続している患者に画像検査を実施推奨)。

被験者は、8時間以内または24時間以内に虫垂切除術を実施する群に無作為に割り付けられました。

主要アウトカムは、手術中に診断された穿孔性虫垂炎とし、intention to treat解析を行いました。

 

その結果、1,803例が解析に含まれました(8時間以内群に907例(年齢中央値35歳[四分位範囲[IQR]:28~46]、男性57%)、24時間以内群に896例(35歳[28~47]、53%)が割り付けられた)。

 

無作為化から手術開始までの時間中央値は、8時間以内群が6時間(IQR:3~10)、24時間以内群が14時間(8~20)(群間差8時間)で、入院期間は8時間以内群で8時間短かったことがわかりました。24時間以内群の24%が8時間以内に手術を受けており、待機時間中に8時間以内群の51%、24時間以内群の48%が抗菌薬の投与を受けていました。

 

穿孔性虫垂炎は、8時間以内群の8%(77/907例)、24時間以内群の9%(81/896例)で発生し(絶対群間リスク差:0.6%、95%信頼区間[CI]:-2.1~3.2、p=0.68、リスク比:1.065、95%CI :0.790~1.435)、24時間以内群の8時間以内群に対する非劣性が示されました。

 

また、30日以内の合併症の発生率(8時間以内群7%[66/907例]vs.24時間以内群6%[56/896例]、群間差:-1.0%、95%CI:-3.3~1.3、p=0.39)にも有意な差は認められず、手術部位感染(3%[24例]vs.2%[22例]、群間差:-0.2%、95%CI:-1.6~1.3、p=0.80)の頻度も両群で同程度でした。手術部位感染による経皮的ドレナージ・再手術は、それぞれ1%(6例)、1%(8例)でした。

追跡期間中に死亡例は認められませんでした。

 

以上から、今回の「PERFECT試験」により、急性単純性虫垂炎が疑われる患者に対して行われる24時間以内の虫垂切除術は、8時間以内の虫垂切除術と比較して、虫垂穿孔のリスクが高くなく、術後の合併症の発生率も増加しないことが分かりました。

 

要するに、夜中に患者を急性虫垂炎と診断しても、虫垂切除術を夜中に無理くり実施する必要はないってことですねw (小児科 土谷)

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