院長先生のブログ
日本の小中高校生の頭痛有病率は?
僕も頭痛持ちなので、頭痛を主訴に来院されるお子さんは他人ごとには思えませんw
そこで、今日は頭痛に関する論文( Clinical neurology and neurosurgery. 2023 Mar;226;107610.)を紹介します(糸魚川からの論文です!)。
小児および青年期の頭痛、片頭痛、薬物乱用頭痛の有病率を調査するため、学校ベースのオンラインアンケートを実施しています。
2022年4月~8月に、新潟県糸魚川市内の小中高の学生(6~17歳)に対してオンラインアンケートを実施しました。片頭痛および薬物乱用頭痛の定義は国際頭痛分類第3版を用いました。
片頭痛を引き起こすトリガーを調査するため、因子分析およびクラスタリングを実施し、頭痛の発生頻度へのCOVID-19パンデミックの影響についての回答も収集しました。
有効回答数2,489例のうち、頭痛は907例(36.44%)、片頭痛は236例(9.48%)、薬物乱用頭痛は11例(0.44%)で認められ、頭痛の回答者の最大70%は日常生活への支障を訴え、約30%は医師に相談していたことが分かりました。
片頭痛のトリガーは、因子分析により5つの因子にグループ化され、因子に対する片頭痛患者の感受性は3つのクラスターに分類されました。
クラスター1:さまざまなトリガーに対し強い感受性を示していた
クラスター2:天気、スマートフォン、ビデオゲームに対し敏感な反応がみられた
→片頭痛による日常生活への支障が大きいにもかかわらず、医師の診察を受けていない傾向
クラスター3は、トリガーに対する感受性が低かった。
COVID-19パンデミック下では、頭痛の回答者の10.25%で頭痛の発作が増加し、3.97%で減少していました。
以上から、小児および青年期において、頭痛による生活への支障は大きいことが分かりました。
決して、「糸魚川紅ズワイガニ研究」という素敵なネーミングに魅かれて読んだわけではありませんが、今日も勉強になりました。 (小児科 土谷)