院長先生のブログ
スマートウォッチと子どもの不整脈
小児の心疾患(不整脈)の診断にスマートウォッチが役立つのか調べた論文を紹介します(Communications medicine. 2023 Dec 13;3(1);167.)。
米スタンフォード・メディシン・チルドレンズ・ヘルスの2018~2022年の医療記録データを分析した結果、スマートウォッチ(Apple Watch)を使用した18歳以下の小児145人中41人(平均年齢13.8±3.2歳)で不整脈が検出されていたことが分かりました。このうち18人はスマートウォッチを使用して心電図データが収集され、また23人が心拍数の上昇を知らせるスマートウォッチの通知を受け取っていました。
スマートウォッチからの情報を受け取った医師が行った精密検査により、29人(71%)で不整脈の新規診断に至っていたことが分かりました。そのうち10人(29%)は、従来の方法では検出できなかった不整脈がスマートウォッチにより診断できていました。
標準的なモニタリング法では検出されなかった、「スマートウォッチで検出された不整脈」の多さに驚きました!
既存のスマートウォッチのアルゴリズムは成人の心臓パターンに基づいており、成人よりも心拍が速い小児に最適化されたものではないにもかかわらずです。今後、小児向けのアルゴリズムが開発されれば、検出感度も向上することでしょう。
それにしても、新しい技術による医療分野の進歩は素晴らしいw (小児科 土谷)