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見附市小児科 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

long COVIDの病態 -その他㉕-

昨日に引き続き、COVID-19罹患後の認知機能障害に関する論文(N Engl J Med. 2024 Feb 29;390(9):806-818.)を紹介します。

Cognition and Memory after Covid-19 in a Large Community Sample | NEJM

 

イギリスで行われた検討です。80万人の成人を対象に、認知機能(8つのタスクにわたるグローバル認知スコア)をオンラインで評価しました。

その結果、11万2964人が評価を完了し、重回帰分析ではCOVID-19から回復した者のうち、症状が4週間未満および12未満で回復した者は非感染群と比較して、軽度の認知機能低下を示した(-0. 23SDおよび-0.24SD:SDは標準偏差)ことが分かりました。その一方、症状が改善していない者では高度の認知機能低下が認められました(-0.42SD)。

 

また、武漢オリジナル株またはB.1.1.7株(α株)が優勢であった期間の感染者は、それ以降の変異株(δ株,ο株)に感染した者よりも認知機能低下は高度であったことが分かりました。さらに入院経験のある者はない者よりも認知機能低下が高度でした(例;ICU入室-0.35SD)。

この結果は傾向スコアマッチング分析を行った場合も同様で、ワクチン接種による予防効果も認められました。

 

ちなみに、文中には感染後の知能指数(IQ)の変化を以下のように示してありました。

感染後の知能指数(IQ)(非感染対照群と比較した平均値)
4~12週で症状改善:IQ 3ポイント低下に相当
12週以上症状持続:IQ 6ポイント低下に相当
ICU入室:IQ 9ポイント低下に相当
再感染:IQ 2ポイント低下に相当

 

もちろん、上記は平均値なので認知機能障害には「ばらつき」があります。そして、実生活でこれらの認知機能障害がどのような影響を及ぼすかは不明です。

とはいえ、こういうデータを見ると、COVID-19への感染は極力防ぐ必要があることに違いは無さそうです。 (小児科 土谷)

 

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