院長先生のブログ
機能性神経障害は高率に慢性疼痛を伴う

機能性神経障害(functional neurological disorders: FND)では痛みをしばしば合併します。
成人の報告ですが、FND患者における慢性疼痛もしくは慢性疼痛患者におけるFNDについて検討した系統的レビュー/メタ解析(J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2024 Feb 21:jnnp-2023-332810.)を紹介します。
715件の論文がスクリーニングされ、64件が解析されました。
8件の症例対照研究(計3476人の患者を含む)では、FND群は他の神経疾患による対照群と比較して、疼痛の合併頻度が高いことが分かりました。30のコホートのランダム効果モデルにより、FND患者4272人の推定55%が疼痛を合併しており、患者の22%が複合性局所疼痛症候群(CRPS)、16%が過敏性腸症候群、10%が線維筋痛症と診断されたと推定されました。
一方、慢性疼痛患者361人におけるFNDの合併に関して検討した研究が5件同定されました。
地域のペインクリニックに通う190人の患者の17%にFNDを認めたとする報告もありました。
そして、疼痛を合併する場合のFNDの予後は不良で、精神療法や理学療法などの介入で他の症状を改善しても、痛みは改善されませんでした。
以上から、機能性神経障害(FND)では疼痛を合併すると言うことを考慮すべきです。
(自戒もかねて)覚えておきましょう。 (小児科 土谷)