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見附市小児科 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

ペットは子どもの食物アレルギーのリスクにどのような影響を及ぼすのか?

1966年の2月20日にIgE(免疫グロブリン)が発見されたことにちなんで、日本アレルギー協会により「アレルギーの日」に制定されています。

そこで、アレルギーにちなんだ話題( PloS one. 2023;18(3);e0282725.)にしたいと思います。

Associations between fetal or infancy pet exposure and food allergies: The Japan Environment and Children’s Study | PLOS ONE

ペット飼育が子どもの食物アレルギーのリスクを低下させるかどうか調査したものです。

 

日本の環境省が実施している「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータから抽出した6万6,215人のデータの解析が行われました。これらの子どもの21.6%(1万4,306人)には、胎児期のペット(室内飼い・外飼いの犬、猫、ハムスター、亀、鳥)への曝露歴がありました。

また、10.5%(6,933人)は幼児期初期に室内で犬を、7.7%(5,092人)は猫を飼っていました。

 

解析の結果、胎児期または幼児期初期に室内飼いの犬または猫に曝露することで3歳までに食物アレルギーを発症するリスクが低下することが明らかになりました。

調整オッズ比は、胎児期の室内飼いの犬への曝露で0.86(95%信頼区間0.78〜0.93)、猫への曝露で0.84(同0.75〜0.93)、幼児期初期の室内飼いの犬への曝露で0.87(同0.80〜0.94)、幼児期初期の猫への曝露で0.87(同0.78〜0.95)でした。

3歳までの食物アレルギーの発症を食品ごとに検討すると、卵アレルギーは、胎児期および幼児期初期の室内飼いの犬と猫への曝露で低下、牛乳アレルギーは、胎児期および幼児期初期の室内飼いの犬への曝露、あるいは幼児期初期の外飼いの犬への曝露で低下、小麦アレルギーは、胎児期および幼児期初期の猫への曝露で低下、大豆アレルギーは、幼児期初期の猫への曝露で低下、ナッツ類アレルギーは、幼児期初期の室内飼いの犬への曝露で低下することが分かりました。

 

以上から、犬を飼っている家の子どもでは、卵、牛乳、ナッツ類に対して、猫を飼っている家の子どもでは、卵、小麦、大豆に対してアレルギーを発症しにくいことが明らかになりました。

 

ただし、なぜペットを飼っている子どもで食物アレルギーの発症リスクが低下するのかまでは明らかにされていませんので、この研究はペットを飼うことが食物アレルギーの発症リスク低下につながる可能性を示唆したに過ぎず、ペットを飼うことで食物アレルギーを防げるわけではないということを覚えておきましょう。

 

個人的に、ペットへの曝露によって引き起こされる食物アレルギーの予防メカニズムが解明されることを願っております。 (小児科 土谷)

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