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見附市小児科 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

PFAS

PFASといっても、今日は花粉-食物アレルギー症候群のことではなくて生物蓄積性環境汚染物質の代表である有機フッ素化合物(PFAS:ピーファス)に関する話題です。

 

PFASは炭素・フッ素と非常に強い力で結びつくため自然界では分解されず、海や土壌に堆積するため「永遠の化学物質」とも呼ばれており、ほぼすべてのアメリカ人の血液中に測定可能な量が存在するとも言われています。PFASに暴露された人はコレステロール値上昇、出生体重の減少、ワクチンに対する抗体反応の低下、腎臓がん、精巣がん、妊娠高血圧症候群、子癇前症、肝酵素の変化を起こす可能性があるとされています。

日本でも、大阪で行われたPFAS汚染を調べるための「1000人血液検査」が中間発表され、日常生活にPFASが深く浸透し、体内に取り込まれている実態が浮き彫りになっています。

大阪のPFAS汚染で「1000人血液検査」の中間発表。汚染の広がりが明らかに(幸田泉) – エキスパート – Yahoo!ニュース

有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)とは?健康への影響は? | 水道直結ウォーターサーバー ウォータースタンド (waterstand.jp)

そこで本日は米国ニューハンプシャー州住民1829人を対象に行われた、大人と子どもの魚介類の摂取について調査した論文(Crawford KA, et al. Patterns of Seafood Consumption Among New Hampshire Residents Suggest Potential Exposure to Per- and Polyfluoroalkyl Substances. Expo Health (2024). )を紹介します。

 

この論文では、最もよく消費される魚介類26種類のPFASを定量しています。

その結果、エビとロブスターの濃度が最も高いことが分かりました(それぞれ1.74ng/gと3.30ng/g)。これら大型の海洋生物種は貝類のような体内にPFASが蓄積しやすい小型の生物種を食べることで、PFASを蓄積する可能性があると議論されています。

 

ただし、以上の結果から、「魚介類を食べるのを止める!」のではなく、先ず魚介類にPFASの規制値をきちんと設けるべきだと思いました。そして、魚介類の摂取にともなう上記リスクとベネフィットのトレードオフ関係を良く理解すること、とくに妊娠中の人や子供のような健康弱者では、PFASの過剰の暴露を避けつつ魚介類の健康上の利点を享受することが大切だと思います。

 

とくに、子ども達や赤ちゃんには影響が出ないように考えなければなりません。

米国政府のように、日本も早く動いてくれないかなw (小児科 土谷)

 

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