メニュー

   

お電話

見附市小児科 みつけこどもクリニック | 小児科一般診療・予防接種・乳児健診 見附市

HPVワクチン積極的勧奨再開後の年代別接種率について

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの積極的勧奨は再開していますが、ワクチン接種率が伸び悩んでいるのはご存じの通りです。この状況が改善されない場合、ワクチンの積極的勧奨再開世代における定期接種終了年度までの累積接種率は、WHOが子宮頸がん排除のために掲げる目標値(90%)の半分にも満たないことが推定されています。

そこで今回は、HPVワクチンの生まれ年度ごとの累積接種率を集計した日本の報告( JAMA network open. 2024 Jul 01;7(7);e2422513.)を紹介します。

Human Papillomavirus Vaccination by Birth Fiscal Year in Japan – PMC (nih.gov)

八木 麻未、上田 豊 ≪産科学婦人科学≫ このままではWHO目標値の半分以下に… 積極的勧奨再開も効果薄? 伸び悩むHPVワクチン接種率 | 大阪大学医学系研究科・医学部 (osaka-u.ac.jp)

 

HPVワクチンは2010年度に公費助成が開始され、2013年度に定期接種化されましたが、副反応の報道などにより厚生労働省が積極的勧奨を差し控えたことによりワクチン接種率が激減。2022年度から積極的勧奨が再開(キャッチアップ接種も開始)されたものの、ワクチン接種率の回復まで至っていません。

そこで、施策を反映した正確な接種状況や生まれ年度ごとの累積接種率を調査し、2022年度と同様の接種状況が続いたと仮定した場合の2028年度時点の累積接種率を推定しました。

 

その結果、生まれ年代別にみた、2022年度末時点のHPVワクチン定期接種終了時までの累積接種率は
 接種世代(1994~99年度):71.96%
 停止世代(2000~03年度):4.62%
 個別案内世代(2004~09年度):16.16%
 積極的勧奨再開世代(2010年度):2.83%

生まれ年代別にみた、2028年度末時点のHPVワクチン定期接種終了時までの累積接種率の推定値は
 接種世代(1994~99年度):71.96%
 停止世代(2000~03年度):4.62%
 個別案内世代(2004~09年度):28.83%
 積極的勧奨再開世代(2010~12年度):43.16%

以上から、個別案内を受けた世代(2004~09年度生まれ)では平均16.16%、積極的勧奨が再開された世代(2010年度生まれ)では2.83%と、積極的勧奨再開後も接種率が回復していない実態が分かりました。

 

ほかの小児ワクチンの接種率が高いことを考えると、HPVワクチンの接種率だけが低いという特異な状況にあることは明らかです。

すでに接種率の低い生まれ年度の女性におけるHPV16/18型感染率および子宮頸がん検診における細胞診異常率の再上昇が報告されていることを考えると、子宮頸がんによる悲劇を少しでも減らすため、HPVワクチンの接種率が少しでも上昇したら良いなと思っています。

HPVワクチンのキャッチアップ接種の期限が迫っています!

キャッチアップ世代は、1997年4月~2007年4月生まれで、現在17才~27才あたりの年代の方々です。

キャッチアップ接種は来年3月で終了するため、6カ月にわたる接種をすべて公費で受けるためには、今年の9月末までに開始をしなければなりません。

まだ接種を済ませていない方は、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。 (小児科 土谷)

この記事をシェアする