園医をしていて、保育園の先生からあった質問「フルミスト接種児から他の子どもにインフルエンザがうつるのか?」について調べてみました(The Pediatric Infectious Disease Journal 25(7):p 590-595, July 2006. )
The Pediatric Infectious Disease Journal
これまでの弱毒化生ワクチン(LAIV、FluMist)に関する研究では、密接接触者への伝播は検出されていません。本研究の主な目的は(最も感染リスクが高いと推定される)保育施設という環境において、ワクチン接種を受けていない子どもに伝播する確率を推定することでした。
保育園に通う 9~36 か月の健常児 197 名を、ワクチン接種群とプラセボ群に無作為に割り付けました。ワクチン接種後のウイルス排出、安全性、排出ウイルスの遺伝子型・表現型、そして他の子どもへの伝播確率を評価しました。
その結果、ワクチン接種児 98 名のうち 80% が、少なくとも 1 株のワクチンウイルスを排出していました。ワクチンに起因すると考えられる有害事象の発現率に臨床的に有意な差はなく、安全性プロファイルは両群で同様でした。
分離されたワクチンウイルスは表現型(低温適応性および温度感受性)を保持しており、弱毒化表現型を付与することで知られる塩基配列に復帰変異(リバージョン)は認められませんでした。
プラセボ群 1 名に、ワクチン株の伝播が 確認されました。統計モデル(Reed-Frost モデル)によれば、1 名のワクチン接種児との接触後に伝播が起こる確率は 0.58%(95%信頼区間:0–1.7%)と推定されました。また、ワクチン株の伝播を受けた児においても、副反応の増加やその他の安全性での懸念は認められませんでした。
以上から、保育園児では接種後ワクチン株ウイルスの排出率は高いものの、その伝播率は低いことが分かりました。また、ワクチン接種児、プラセボ児、あるいはワクチンウイルスが伝播した児のいずれにも、臨床的に問題となる疾患は認められませんでした。
今年も10月から、フルミストを含むインフルエンザワクチンの接種が始まります。
毎年流行のパターンが少しずつ異なるため、接種を希望される方はお早めに申し込みください。 (小児科 土谷)


