COVID-19患者の家庭内接触者を対象に、ニルマトレルビル・リトナビルの曝露後予防の有効性および安全性について検討した論文(The New England journal of medicine. 2024 Jul 18;391(3);224-234. )です。

無作為化前96時間以内にCOVID-19患者と家庭内接触があり、無症状かつSARS-CoV-2迅速抗原検査陰性の成人を、ニルマトレルビル・リトナビル(ニルマトレルビル300mg、リトナビル100mg)の5日間投与群、10日間投与群、またはプラセボ群(5日間または10日間投与)に1対1対1の割合で無作為に割り付けました。主要エンドポイントは、ベースラインでRT-PCR検査が陰性であった参加者(解析対象集団)における、14日目までの症候性COVID-19の発症(RT-PCR検査または迅速抗原検査でSARS-CoV-2感染を確認)としました。
その結果、2021年9月9日~2022年4月12日に、計2,736例が5日間投与群921例、10日間投与群917例、およびプラセボ群898例に無作為化されました。
投与14日目までのRT-PCR検査または迅速抗原検査でSARS-CoV-2感染が確認された症候性COVID-19の発症率は、5日間投与群2.6%(22/844例)、10日間投与群2.4%(20/830例)、プラセボ群3.9%(33/840例)でした。
プラセボ群に対する相対リスクの減少は、5日間投与群で29.8%(95%信頼区間[CI]:-16.7~57.8、p=0.17)、10日間投与群で35.5%(-11.5~62.7、p=0.12)であり、統計学的な有意差は認められませんでした。
また、有害事象の発現率は、5日間投与群23.9%(218/912例)、10日間投与群23.3%(212/911例)、プラセボ群21.7%(195/898例)で、いずれも同程度でした。最も発現率が高かった有害事象は味覚障害で、それぞれ5.9%、6.8%、0.7%でした。
以上から、ニルマトレルビル・リトナビルの5日間または10日間投与はいずれも、症候性COVID-19発症リスクの有意な低下に寄与しないことが分かりました。
COVID-19治療薬の臨床試験で、これまで曝露後予防の有効性は示されていませんでしたが、今回の結果も同様でした。
基本に立ち返って、流行期は感染予防策に努めましょうw (小児科 土谷)


