好酸球性食道炎の治療に関する論文(古めの論文ですいません)です。

デュピルマブ週1回皮下投与は組織学的寛解率を改善し、嚥下障害症状を軽減することが、オーストラリア(4施設)、カナダ(4施設)、欧州(25施設)および米国(63施設)の96施設で実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で示されました( The New England journal of medicine. 2022 Dec 22;387(25);2317-2330.)。

Dupilumab in Adults and Adolescents with Eosinophilic Esophagitis | New England Journal of Medicine (nejm.org)

 

対象は、内視鏡の生検で好酸球性食道炎と診断され(高倍率1視野当たり好酸球数が15以上)、ベースライン時の嚥下障害症状質問票(DSQ)スコアが10以上(スコアの範囲:0~84、スコアが高いほど嚥下障害症状が高頻度または重度)の12歳以上の患者です。

パートAとして、適格患者81例をデュピルマブ群(300mgを週1回)とプラセボ群に1対1の割合で(それぞれ42例、39例)、パートBとして240例をデュピルマブ300mgの週1回または隔週、またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付け(それぞれ80例、81例および79例)、24週まで皮下投与しました。

その後はパートCとして、パートAを完遂した適格患者は全例52週までデュピルマブ300mgを週1回皮下投与し(パートA-C群)、パートBでプラセボ群に割り付けられた患者は、デュピルマブ300mg週1回または隔週群に1対1の割合で無作為に割り付け、パートBでデュピルマブを投与された患者は同じ用法用量で、それぞれ52週まで皮下投与を継続しました(パートCは論文掲載時に進行中)。

パートAおよびBの主要評価項目は、24週時の組織学的寛解(高倍率1視野あたりの好酸球数が6以下と定義)を達成した患者の割合(組織学的寛解率)、およびDSQスコアのベースラインからの変化量でした。

 

その結果、組織学的寛解率は、パートAではデュピルマブ群60%(25/42例)、プラセボ群5%(2/39例)で、デュピルマブ群が有意に高かった(補正後群間差:55ポイント、95%信頼区間[CI]:40~71、p<0.001)ことが分かりました。パートBでは、デュピルマブ週1回群59%(47/80例)、隔週群60%(49/81例)、プラセボ群6%(5/79例)で、デュピルマブ週1回群はプラセボ群との比較で有意差が認められたものの(補正後群間差:54ポイント、95%CI:41~66、p<0.001)、デュピルマブ隔週群とプラセボ群との比較では階層的検定で有意差は認められませんでした(56ポイント、43~69)。

また、ベースラインの平均(±SD)DSQスコアは、パートAで33.6±12.41、パートBで36.7±11.22でした。24週時のDSQスコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均変化量)は、パートAではデュピルマブ週1回群がプラセボ群と比較して有意に大きかった(-21.92 vs.-9.60、群間差:-12.32[95%CI:-19.11~-5.54]、p<0.001)ことが分かりました。パートBでも、デュピルマブ週1回群がプラセボ群と比較して有意に大きかったものの(-23.78 vs.-13.86、-9.92[-14.81~-5.02]、p<0.001)、デュピルマブ隔週群とプラセボ群との間に有意差は認められませんでした(-14.37 vs.-13.86、-0.51[-5.42~4.41]、p=0.84)。

以上から、好酸球性食道炎患者に対する、デュピルマブ週1回皮下投与は組織学的寛解率を改善するとともに、嚥下障害症状を軽減することが分かりました。

 

ちなみに、日本の幼児・成人好酸球性消化管疾患 診療ガイドラインは下記リンクです。

EGIDs_guideline.pdf (ncchd.go.jp)

医療は日進月歩。

これまでの知見は今後ガイドラインに反映されていくことでしょう。 (小児科 土谷)