小児科診療に携わっている自分としては、国の、地方の出生率の低下は由々しき問題です。
そもそも、人口が長期的に増減することなく一定に保たれる水準(人口置換水準;RLF)はどれくらいなんでしょう?( PloS one. 2025;20(4);e0322174. pii: e0322174.)
Threshold fertility for the avoidance of extinction under critical conditions | PLOS One
これまで、RLFは2.1とされていましたが、研究グループによると、G7加盟国の出生率は、イタリア1.29、日本1.30、カナダ1.47、ドイツ1.53、英国1.57、米国1.66、フランス1.79で、いずれの国も2.1を大きく下回っていると指摘されています。ちなみに、出生率がRLFを下回ったままである場合、日本の人口は世代ごとに31%ずつ減少すると予測されています。
本研究グループは、このRLFが2.1という数字が低い死亡率や出生時の性比が1対1であることを前提に算出されたもので、個体のランダムな出生や死亡などにより生じる偶然の変動(人口学的確率性)を考慮していないと指摘しています。これを踏まえて、人口学的確率性や性別特異的死亡率を考慮した上で、生殖可能年齢の女性の出生率に関する絶滅の閾値を検討した結果、人類の存続に必要なRLFは約2.7で、従来考えられていた2.1よりはるかに高いことが明らかになりました。また、男児よりも女児の出生数の方が多くなると、絶滅の閾値は2.7よりも低くなることも示されました。
かつて、イーロン・マスク氏が「出生率の低下は人類存続の危機である」と警告したのも頷けます。
差し迫った脅威と感じていない方も多いと思いますが、人口減少は今そこにある危機なのです。
行政に携わる方々だけでなく、自分たちも、危機感を持って、真面目に考えなければなりません。 (小児科 土谷)

