アナフィラキシー治療用の鼻スプレー型アドレナリン〈商品名:neffy (ARS Pharmaceuticals, Inc, San Diego, Calif) 〉に関する論文(J Allergy Clin Immunol. 2023 Dec;152(6):1587-1596.)を紹介します。

鼻腔内アドレナリン投与デバイスであるneffyは筋肉内注射と比較して、薬物動態・薬力学的にどのように異なるのでしょうか?

Pharmacokinetics/pharmacodynamics of epinephrine after single and repeat administration of neffy, EpiPen, and manual intramuscular injection – Journal of Allergy and Clinical Immunology (jacionline.org)

 

neffy2.0mg、エピペン0.3mg、用手的筋肉内アドレナリン注射0.3mgを、薬物動態学および薬力学的に評価しました。

59人の健康被験者を対象とした第一相、無作為化、6処置、6期間、2パートのクロスオーバー試験です。単回投与及び反復投与後のアドレナリンの薬物動態・薬力学的パラメータを投与前後の様々な間隔で比較しました。

 

その結果、neffyの薬物動態プロファイルは承認された注射製剤の範囲内で、平均最高血漿中濃度は481 pg/mLで、エピペン (753 pg/mL) と用手的筋肉内アドレナリン注射 (339 pg/mL)の中間でした。

1回、2回投与時のいずれも、neffyはエピペン、用手的筋肉内アドレナリン注射と比較して、薬力学パラメータの顕著な増加をもたらしました。

以上から、neffyの薬物動態プロファイルは承認された注射製剤の範囲内で、エピペン や用手的筋肉内アドレナリン注射と同等もしくはそれ以上でした。

 

neffyはアナフィラキシーの治療において、安全で効果的なデバイスのひとつとして選択肢になるものと思われます。今後の報告に期待ですねw (小児科 土谷)