日本でも60歳以上の方、妊婦さんに対するRSウイルス(RSV)ワクチンを接種することができますが、今回は60歳以上の方へのRSVワクチンの有効性に関する論文( Lancet. 2024 Oct 19;404(10462);1547-1559.)を紹介します。
米国8州の電子カルテに基づくネットワーク(Virtual SARS-CoV-2, Influenza, and Other respiratory viruses Network:VISION)を用いて、2023年10月1日~2024年3月31日にRSV検査を受けた60歳以上の成人におけるRSV様疾患による入院および救急外来受診に関して、検査陰性デザインを用いた解析を実施しました。
受診時のRSVワクチン接種状況は、電子カルテ、州および市の予防接種登録、一部の施設では医療請求記録から取得しました。
ワクチンの有効性は、RSV陽性症例群と陰性対照群でワクチン接種のオッズを比較し、年齢、人種/民族、性別、暦日、社会的脆弱性指数、呼吸器系以外の基礎疾患数、呼吸器系の基礎疾患の有無および地理的地域で調整し、免疫不全状態別に推定しました。
その結果、60歳以上、免疫正常者のRSV様疾患による入院は2万8,271例で、RSV関連入院に対するワクチンの有効性は80%(95%信頼区間[CI]:71~85)、RSV関連重篤疾患(ICU入院/死亡、または両方)に対するワクチンの有効性は81%(95%CI:52~92)でした。
60歳以上、免疫不全状態の患者のRSV様疾患による入院は8,435例で、RSV関連入院に対するワクチンの有効性は73%(95%CI:48~85)でした。
60歳以上、免疫正常者のRSV様疾患による救急外来受診3万6,521例において、RSV関連救急外来受診に対するワクチンの有効性は77%(95%CI:70~83)でした。
ワクチンの有効性の推定値は、年齢層や製剤の種類によらず同様でした。
以上から、RSウイルス(RSV)ワクチン承認後最初のシーズンである2023~24年の米国において、同ワクチンの接種は、60歳以上のRSV関連入院および救急外来受診の予防に有効であったことが示されました。
色々な「研究の限界」はあるものの、RSVワクチンは実臨床でも有効そうです。
小児だけで無く高齢者も、RSV感染症に罹患すると重症化しやすいことが指摘されています。感染予防策の一環として、ワクチン接種もご検討ください。 (小児科 土谷)


